2002 Fiscal Year Annual Research Report
筋交感神経系ならびに骨格筋収縮によるインスリン感受性制御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12480255
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中村 孝夫 山形大学, 工学部, 教授 (00142654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 正隆 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80214956)
馮 忠剛 山形大学, 工学部, 助手 (10332545)
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Keywords | インスリン感受性 / インスリンクランプ / 糖代謝 / 筋収縮 / 強縮性 / 律動性 / ラット |
Research Abstract |
今年度の研究成果は以下のように要約される。研究実施計画に従ってまず、麻酔下に健常ラットの座骨神経を切断した状態での安静時のインスリン感受性と、切断後の遠位座骨神経経由で後肢筋に筋収縮を誘発した状態でのそれを、インスリンクランプ法にて測定、比較し、前年度までに明らかになった筋収縮のインスリン感受性亢進効果への神経系の関与について検討した。その結果、(1)除神経はインスリン機能低下に大きく影響し、(2)筋収縮による糖取り込み量の増加も健常群とではそのメカニズムが異なっていることが明らかとなった。 次にその効果が、糖尿病状態下では健常動物のそれよりも著明であることを期待して、高脂肪食を与えて作成した糖尿病モデルラットを用いて同様の実験を行い、その結果を健常ラットの場合と比較、検討した。その結果興味深いことに、(3)糖尿病モデルラットのインスリン感受性は、健常ラットの除神経群と似た挙動を示し、高脂肪食が神経機能を変調して、定常時のトーンを変えている可能性が示唆された。 さらに、これらのインスリンクランプ施行時に、内因性の肝グルコース放出と、内因性の膵インスリン分泌が、外因性のそれらとどのような関係にあるかを詳細に検討するために、フェノール硫酸法によって肝組織からグルコース放出を検討し、ラット並びに人インスリンを分離することによる、外因性、内因性インスリンの効果についても検討を始めた。その結果、まだデータ数は十分ではないものの、当初の予想に反して、インスリンクランプ時には内因性グルコースの放出も内因性インスリンの分泌も増加している傾向が見られた。このことは、インスリンクランプ法自体が代謝系機能に与える影響がかなり大きいことを示唆しており、その結果の解釈を極めて慎重に行う必要があることを示唆している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Nakamura, et al.: "Microneurography for the measurement of muscle sympathetic nerve activity(MSNA)in anesthetized rats"Proc. JSBB (Yamagata). 79-82 (2003)
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[Publications] 菓子 勉 他: "末梢筋収縮のインスリン感受性に及ぼす効果"電子情報通信学会技術報告. MBE2002-23. 33-36 (2002)
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[Publications] M.Kusunoki, et al.: "Correlation between lipid and glycogen contents in liver and insulin resistance in high fat-fed rats treated with the lipoprotein lipase activator NO-1886"Metabolism. 51・6. 792-795 (2002)
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[Publications] M.Kusunoki, et al.: "A lipoprotein activator, NO-1886 prevents impaired endothelium-dependent relaxation of aorta caused by exercise in aged rats"Exp. Gerontol.. 37. 891-896 (2002)
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[Publications] 宮川勉 他: "ラット座骨神経内筋交感神経活動のバースト内インパルス特性"電子情報通信学会技術報告. MBE2002-66. 9-12 (2002)
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[Publications] M.Kusunoki, et al.: "Ethylicosapentate(omega-3 fatty acid) causes accumulation of lipids in skeletal muscle but suppresses insulin resistance in OLETF rats"Metabolism. (in press). (2003)