2000 Fiscal Year Annual Research Report
カプセル化ラ島を計測制御系として用いる機械式人工膵臓の基礎研究
Project/Area Number |
12480258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土肥 健純 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40130299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 一郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (50178597)
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
辻 隆之 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00075764)
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Keywords | 人工膵臓 / カプセル化ラ島 / オープンループ型人工膵臓 / インスリン / グルカゴン / 生体シミュレーション / ハイブリッド人工膵臓 |
Research Abstract |
本研究では、新しい人工膵臓システムとして、オープンループ型の機械式人工膵臓とハイブリッド人工膵臓を組み合わせる方法(以下バイオニック人工膵臓と呼ぶ)を提案し、その可能性を計算機シミュレーションにより検討した。具体的には生体の血糖調節に関わる器官を必要十分に考慮に入れた生体の血糖調節機構モデルの構築し、この生体モデルにカプセル化ラ島の半透膜の特性ならびにインスリン・グルカゴン分泌徳性を文献報告に基づいてモデル化し再現したバイオニック人工膵臓モデルを導入し、糖尿病モデルに組み込み、前述のシステムの血糖値制御性をシミュレーションにより検討した。 オープンループ式機械式人工膵臓モデルとハイブリッド人工膵臓モデルを組み合わせて、バイオニック人工膵臓モデルを構築し、シミュレーションによって提案するバイオニック人工膵臓が血糖値を正常値範囲に制御できることを確認した。静脈内にブドウ糖を負荷する試験を模擬したしみゅれ書ンでは、血糖値の正常範囲への収束に若干の遅れが見られたが、これは半透膜を考慮したためにグルコースやインスリンの反応に遅れが出たものと考えられる。またハイブリッド人工膵臓モデルのランゲルハンス島の数を減らして機能を落とし、それをオープンループ人工膵臓でどの程度保証できるかを検討した。ランゲルハンス島数をハイブリッド型のみで必要とされる60%に落とした場合でも、機械式人工膵臓において必要量の50%程度のインスリンを注入すれば血糖値が正常に保たれる結果が得られた。またバイオニック人工膵臓はグルカゴンも分泌できることから、低血糖に対する血糖調整能力も示すことができ、オープンループ型の動作が異常となってもそれほど血糖状態が変化しないことも確認された。 また、ブタの膵臓を一部摘出したモデルに対して動物実験を実施し、以上の結果の妥当性の検討を試みた。動物実験による検証は今後の課題である。
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[Publications] Ichiro SAKUMA,Akiko OGURA,Ken MASAMUNE,Naoki YAHAGI,Takayuki TSUJI,Hiroshi INADA,Takeyoshi DOHI: "Bionic Artificial Pancreas"医用電子と生体工学. 38、特別号. 25 (2000)