2002 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代におけるアメリカニゼーションとナショナリズムの国際的比較研究
Project/Area Number |
12490002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古矢 旬 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90091488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊永 郁子 九州大学, 大学院法学研究院, 助教授 (10217581)
久保 文明 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (00126046)
大津留 千恵子(北川) 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
遠藤 泰生 東京大学, 大学院総合文化研究所, 教授 (50194048)
加納 啓良 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00134635)
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Keywords | アメリカニゼーション / グローバリゼーション / ナショナリズム / デモクラシー / 開発 / 地域統合 / 人権 / 世界銀行 |
Research Abstract |
本年度は、これまでに各研究分担者が実施した海外、国内調査の結果、蒐集した史資料、二次文献に基づき、各専門地域、分野ごとに「アメリカ化」と「グローバル化」の異同、現代世界におけるナショナリズムと「アメリカ化」の緊張関係の分析に当たった。その際、海外の研究協力者との連携を強化し、一つの地域や争点を論じる際にも、できるだけ国際的な視点の設定が可能になるように図った。その結果、本研究課題「グローバル化時代におけるアメリカ化とナショナリズム」は、以下の四つの相連関する問題群に分けて考察された。すなわち第一に「アメリカ化の起源」、第二に「国際政治経済におけるアメリカのヘゲモニーの特色」、第三に「アメリカニズムと地球市民社会形成」、第四に「地球規模のアメリカ化の進展下における地域研究の課題と可能性」である このように論点を集約した上で、全研究分担者、海外研究協力者、および関連分野の国内研究者も参加し、2002年8月には、国際シンポジウムを開催した。このシンポジウムにおける各報告と討議とによって以下の点が解明された。第一に、「アメリカ化」の世界的広がりはすでに1920年代までには開始されており、現在の国際政治経済におけるアメリカのヘゲモニーは、通常考えられているよりもはるかに長い歴史に根ざしている。第二に、普遍文化としてのアメリカニズムは、必ずしも自由資本主義的な市場経済と厳密に重なり合うものではないが、両者は相互に刺激しあいながら地球上の隅々に浸透し、各地のナショナリズムとの軋轢を生みだしている。第三にこうした事情を背景として、学問分野としての「地域研究」は、(研究対象の地域の違いにかかわらず)、「アメリカ化」「ナショナリズム」「グローバル化」という三つの趨勢によって大きく変容しつつある。 以上の成果を中心に、最終的成果報告書をまとめることによって本研究課題は、一応終了する。
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[Publications] 古矢 旬: "自由と巨大国家の間で--政治思想の伝統"有賀夏紀・油井大三郎【編】『アメリカの歴史--テーマで読む多文化社会の夢と現実』(有斐閣). 192-213 (2002)
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[Publications] 古矢 旬: "「冷戦以後」--アメリカニズム・グローバリゼーション・ナショナリズム"アメリカ研究. 36号. 1-22 (2002)
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[Publications] Chieko Kitagawa Otsuru: "Citizenship in the Global Context"Ryo Oshiba, Edward Rhodes, Chieko Kitagawa Otsuru(eds.), "We the People" in the Global Age, (Osaka, JCAS). 309-332 (2002)
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[Publications] 大津留(北川)智惠子: "新しい秩序を模索するアメリカ外交"佐々木卓也【編】『戦後アメリカ外交史』(有斐閣). 221-256 (2002)
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[Publications] 大津留(北川)智惠子: "アメリカの内なる戦い"松原正毅・小杉泰・臼杵陽【編】『岐路に立つ世界を語る』(平凡社). 126-128 (2002)
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[Publications] 久保文明: "共和党保守派連合とその広がりについて"(財)日本国際問題研究所【編】『米国政治:共和党右派とその支持勢力』. 1-15 (2002)
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[Publications] 久保文明: "民主主義の民主化--アメリカ政治の変容"有賀夏紀・油井大三郎【編】『アメリカの歴史--テーマで読む多分化社会の[夢と現実』(有斐閣). 214-233 (2002)
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[Publications] 豊永郁子: "二つの「帝国」イメージの間で--新しい世界秩序の構築とアメリカ政治社会の将来"法政研究. 69巻2号. 319-337 (2002)
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[Publications] 豊永郁子: "「腐敗」の境界線をめぐる若干の問題"アメリカ法. 2003年2号. 310-317 (2002)
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[Publications] 豊永郁子: "政界再編期日本におけるコーポラティスト・シナリオの台頭と挫折--NTT分割論争の帰趨をめぐる一試論"レヴァイアサン. 2003年春号(発売予定).
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[Publications] 遠藤泰生: "異文化間の対話を深める"教養学部報(東京大学). 455号. 4-4 (2002)
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[Publications] 遠藤泰生: "異民族、異文化共生の理念を拒むクレオール--ジャマイカマルーンの歴史に見る包摂と拒絶"遠藤泰生・木村秀雄【編著】『クレオールのかたち』(東京文化出版会). 21-64 (2002)
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[Publications] 古矢 旬: "アメリカニズム--「普遍国家」のナショナリズム"東京大学出版会. 368 (2002)
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[Publications] 遠藤泰生, 木村秀雄: "クレオールのかたち"東京大学出版会. 324 (2002)