2001 Fiscal Year Annual Research Report
陰イオン促進〔1,3〕転位反応の多面化と天然物合成への応用
Project/Area Number |
12490004
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
関 桂 宇都宮大学, 機器分析センター, 助教授 (50007994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
刈込 道徳 宇都宮大学, 工学部, 助手 (00224709)
芳賀 一雄 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (90008011)
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Keywords | 天然物 / テルペノイド / プチカノリド前駆体 / タキソール / タキサン骨格 / 陰イオン促進[1,3]転位 / オキシコープ転位 / 骨格変換 |
Research Abstract |
天然物は多種多様な炭素骨格を有しており、それらの骨格を効率的に構築することは有機合成化学における重要な課題の一つである。本研究は、これまで殆ど利用されていなかった陰イオン促進[1,3]転位反応を活用し、天然物合成に利用可能な炭素骨格を系統的な構築すると共に、その応用として機能性有機材料の合成にも利用できる新規骨格変換法の開拓を目指す。 架橋化合物に二重結合や官能基を導入すると様々な転位反応の可能性が広がり、これらの反応を上手に組み合わせることで、炭素骨格の系統的な変換が可能となる。本研究では、陰イオンで促進される[1,3]転位反応を中心に、これと競争的に進行するオキシコープ転位反応、デールスアルダー反応、並びにピナコール型転位反応などを利用した骨格変換法について詳細に検討した。 本年度は、昨年までに確立した[5-5]縮環骨格形成法の実践的展開として、地衣成分であるプチカノリドの前駆体や、強力な抗ガン剤として注目されているタキソールの主要骨格(タキサン骨格)に相当するビシクロ[5.3.1]系化合物の新規構築法の開発を重点的に行った。前者は、[5-5]縮環骨格の凸面に連続した4個のメチル基を有するスピロ型γ-ラクトン類で、その特異な構造のため未だ合成例のない化合物である。我々は、出発原料のビシクロ[2.2.2]系化合物から、ピナコール型転位や陰イオン促進[1,3]転位を鍵反応とし、数段階の反応を経てその前駆体エステルの合成に成功した。後者では、ビシクロ[2.2.2]系化合物から誘導した2-ビニルビシクロ[3.2.1]オクト-6-エン-2-オールの陰イオン促進[1,3]転位とオキシコープ転位反応を連続的に行い、タキサン類の主要骨格をワンポットで効率良く合成する方法を開発した。 来年度は、これらの知見を基にして、新たな天然物合成や機能性有機材料の新規合成法の開発を行う予定である。
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[Publications] H. Hashimoto, Y. Abe, Y. Mayuzumi, M. Karikomi, K. Seki, K. Haga, T. Uyehara: "A novel method for the synthesis of diquinanes based on anionic [1,3] rearrangement of bicyclo[3.2.1]oct-6-en-2-ols"Tetrahedron Letters. 43・2. 265-267 (2002)