2000 Fiscal Year Annual Research Report
高精度全球土壌水分分布の再解析と降水予測へのインパクト数値実験
Project/Area Number |
12490007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沖 大幹 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (50221148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 賢治 京都大学, 防災研究所, 助手 (30283625)
小池 俊雄 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30178173)
喜連川 優 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40161509)
鼎 信次郎 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20313108)
江守 正多 , 環境庁・国立環境研究所, 研究員
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Keywords | 土壌水分 / 気候モデル / 降水予測 / 陸面モデル |
Research Abstract |
・高精度外力の整備 GSWP(Global Soil Wetness Project)-1の時点よりも精度が高い降水量データとして、世界降水量気候値センター(GPCC)によるものとNASAを中心として作成されたCMAPによるものとの2種類を揃えた。GSWP-1では高緯度の流出量にマイナスのバイアスが見られたが、その大きな要因として、高緯度の降雪量計測に与える風の影響をどのように補正するかという問題が挙げられたため、本研究では、適切な風補正を行った降水量データも同時に作成した。これら降水量データのみならず、放射、風速、気温等のすべての外力を陸面共通情報基盤形式(ALMA形式)に変換し、世界の陸面水文研究界へ向けてインターネット上での公開を開始した。またその際に得られた知見をもとに、ALMA形式そのもののさらなる改良へと繋がる提言を行った。 また、人工衛星データから土壌水分と積雪量を抽出するアルゴリズムを改良し、陸面数値モデルによる土壌水分・積雪量と比較可能な衛星起源土壌水分・積雪データセットの構築を開始した。 ・全球エネルギー・水収支算定情報基盤の構築 上記のように整備された外力グローバルデータと陸面植生水文モデルを、データベースとユーザインターフェースを用いて組み合わせることにより、容易にグローバルなエネルギー・水収支算定数値実験を可能にするシステムの開発を行いつつある。1次元の数値実験に関しては、インターネットを通じてパラメータ感度実験を行い、結果を容易に可視化するシステムを開発した。現在は、2次元版の開発を鋭意進めている。 ・降水予測へのインパクト数値実験 本研究の最終目的の一つは、陸面植生モデルを用いた数値実験によって得られた全球土壌水分が気候モデルによる降水予測にどの程度インパクトがあるか調べることである。本年度は、まず、衛星データをもとに算定された土壌水分を用いて降水予測がどの程度改善されるかについて研究をすすめた。その際、衛星データは地表の非常に浅い(数センチメートル)場所の情報しか持っていないが、陸面植生水文モデルによる結果を利用したアルゴリズムを開発し表層の土壌水分量から深層の土壌水分をも推定することによって、降水予測が非常に改善されることが明らかにされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 生駒,新井,金,沖,喜連川: "陸面植生ワークベンチの開発と熱帯水田観測データの適用"水文・水資源学会誌. 13. 291-303 (2000)
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[Publications] Miyaoka,Matsuyama,and Oki: "Validation of the output from JMA-SiB using the combined water balance method and a river routing scheme"Journal of Geophysical Research. 104(D24). 199-206 (2000)
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[Publications] 新井,金,沖,虫明: "熱帯水田へのSiB2の適用と水田スキームの導入"水工学論文集. 44. 175-180 (2000)
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[Publications] Kim,Arai,Kanae,Oki,and Musiake: "Application of the Simple Biosphere Model to Paddy Field in GAME-Tropics"Journal of Meteorological Society of Japan. 79(in press). (2001)
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[Publications] 小池,下茂,太田,柴田,藤井: "陸面水文量分布のグローバル推定のためのマイクロ波放射計アルゴリズムの開発と検証"水工学論文集. 44. 247-252 (2000)
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[Publications] 田中,中村,椎葉,池淵: "陸面過程モデルにおける土壌水分の役割"水工学論文集. 44. 157-162 (2000)