2000 Fiscal Year Annual Research Report
老化、紫外線、放射線によるタンパク質中のD-β-アスパラギン酸生成とその機構
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12490017
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
藤井 紀子 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (90199290)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下岡 正志 アサヒテクノグラス(株), ライフサイエンスセンター, センター長(研究職)
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| Keywords | 老化 / 紫外線 / 放射線 / D-アミノ酸 / ラセミ化 / 異性化 / 水晶体 / 翻訳後修飾 |
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| Research Abstract |
I 「老化水晶体中のαA-クリスタリンのAsp残基の部位特異的な反転(D-体化)と異性化(β-化)」
生体を構成するタンパク質はすべてL-アミノ酸から構成されているが、我々は老化した眼の水晶体の主要構成成分であるαA-クリスタリン中に通常では見られないD-β-アスパラギン酸(D-β-Asp)を多量に検出した。特に80歳のヒトのαA-クリスタリン中のAsp-151,Asp-58残基はD/L比が各々、5.7、3.1と1.0を大きく上回っており、もはや通常のラセミ化反応ではなく、反転反応の範疇であった。このような反転反応は他のタンパク質では例を見ない。今年度はAsp-58残基の反転、異性化がどの年代から開始されるのかを検討した。その結果、これらの反応は既に30代で開始、その量は加齢と共に蓄積されて増加していくことが明らかとなった。
II「紫外線照射によるD-β-Asp含有タンパク質の蓄積」
ヒトαA-クリスタリン中のD-β-Asp151を含む前後数残基と同一配列からなるペブチドを合成し、これを特異的に認識する抗体を調製した。本抗体はD-β-Asp含有タンパク質を特異的に認識するのでこれを用いて水晶体及び皮膚の免疫組織染色を行った。その結果、水晶体中では水晶体の核部にD-β-Aspが局在し、それが白内障の著しい部位と一致した。又、本抗体を用いて紫外線被爆の影響が直接的である顔の皮膚でD-β-Aspタンパク質中の存在の有無について検討したところ、老人の顔の皮膚に顕著にD-β-Asp含有タンパク質が認められた。これらの結果はタンパク質中でのD-β-Asp生成が紫外線照射と密接な関連があることを強く示唆している。
III「老化及び放射線照射したα-クリスタリンのシャペロン機能の測定」
水晶体のα-クリスタリンは他のクリスタリンの無秩序な凝集を防ぎ、水晶体の透明性を維持するというシャペロン機能を担っている。白内障はこのシャペロン機能の低下が一因であると考えられている。本研究ではα-クリスタリン分子に紫外線、放射線照射を行い、シャペロン機能低下とアミノ酸の修飾の関連を検討した。その結果、Asp151残基のラセミ化と異性化、Met-1残基の酸化がシャペロン機能低下と関連していることが明らかとなった。
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[Publications] Fujii,N.: "A view on to the L-amino acid world through the "D-amino acid-scope""Advanves in Biophysics. (in press). (2001)
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[Publications] Takemoto,L.J.,Fujii,N.,and Boyle,D.: "Mechanism of asparagine deamidation during human senile cataractogenesis."Exp.Eye Res.. (in press). (2001)
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[Publications] Fujii,N.,Takemoto,L.J., (et al.4).: "The comparison of the D-aspartic acid contents in alphaA-crystallin from normal and age-matched cataractous human lenses."Biochem.Biophys.Res.Comm.. 278. 408-413 (2000)
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[Publications] Mizuno,A.Fujii,N., (et al.3): "Changes of secondary structure detected by laser Raman spectroscopy in model peptides of human alpha A-crystallin by a substitution of D-aspartyl residues for L-aspartyl residues in the peptides."Jpn J.Ophthalmol. 44. 354-359 (2000)
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[Publications] Fujii,N.,Shimo-oka,T., (et al.4): "Localization of Biologically Uncommon D-β-Aspartate Containing αA-Crystallin in Human Eye Lens."Molecular Vision. 6. 1-5 (2000)
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[Publications] Shimada,A.,Fujii,N.and Nakamura I.: "Increasingly activity change of tryptophanase irradiated with a low dose of gamma-rays."Viva Origino. 28. 65-76 (2000)
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[Publications] Fujii,N.,Momose Y., (et al.2): ""Modification of αA-crystallin obtained from aged X-ray irradiated mouse lenses.in "The Role of Radition and Origin of Life""Kyoto Univ.Academic Press, Kyoto. 18 (2000)
