2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12490022
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
光末 紀子 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (80031350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗像 惠 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (40135504)
曽根 ひろみ 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10179385)
須藤 健一 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10110082)
山崎 康仕 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (00200668)
三浦 伸夫 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (20219588)
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Keywords | 女性イメージ / 梅毒 / 売春 / 和算 / 女性政策 / 家事技術 / 家父長制 / エコフェミニズム |
Research Abstract |
平成12年度には、各研究領域に内在するジェンダー問題の摘出と分析が行われ、平成13年度には、研究会の開催と討議によってジェンダーに関する本格的な共同研究が進められた。本年度はこれをさらに推し進め、「現代社会における文化的性差を支える価値観と諸規範を根底から問い直す」という共通テーマに対する各人の研究成果を持ち寄って数回の研究会で意見交換を行い、共同討議を通じて研究の成果を統合することがめざされた。 この研究計画にもとづき、今年度は4回にわたって研究集会が開かれた。それぞれの開催日時と内容は以下のとおりである。 第1回研究会 7月23日(火) 報告者 金野美奈子 テーマ「性別職務分離研究再考-ジェンダー分析の方法論的リスク」 第2回研究会 10月31日(木) 報告者 三浦伸夫 テーマ「『レディーズ・ダイアリー』にみる18世紀英国の女性と数学」 第3回研究会 12月12日(木) 報告者 光末紀子 テーマ「B.パッペンハイムの思想と行動--ドイツにおける第一波フェミニズムの一動向」 第4回研究会 1月30日(木) 報告者 曽根ひろみ テーマ「日本近世の法制とジェンダー」 いずれの研究集会においても、濃密な内容の報告をめぐって活発な討論が交わされ、本科研の共通テーマに関する研究分担者間の共通認識はいっそう深められた。その結果、新たな性差規範に基づく個々人のジェンダー・アイデンティティの確立と、あるべき「両性の共同性」への展望とを獲得するための基礎が築かれたと言えよう。 さらに、各々の研究分担者における研究の進展の一部を紹介すれば、以下のごとくである。(1)光末は、19紀末から20世紀初頭にわたるフェミニズム第一波の時代に、多くのフェミニストたちがジェンダーをめぐる様々な論争に参加したが、それらの論争を「母性」というキーワードのもとに検証した。(2)曽根は売買春についての歴史学、民俗学、社会学の研究史を批判的に検討し、それを一冊の単著にまとめた。(3)阪野は、ブレア政権の家族政策が、就労促進型給付の拡大や選別主義の強化といった点で保守党政権との連続性が強いことを明らかにした。(4)上野はフランクフルト学派にみられる家父長制批判の論理とその逼塞を検討し、塚原はハーディングとハラウェイの観点観測論および強い客観性の概念を吟味した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 阪野智一: "自由主義的福祉国家からの脱却?--イギリスにおける二つの福祉改革"宮本太郎編『福祉国家再編の政治』ミネルヴァ書房. 149-182 (2002)
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[Publications] 三浦伸夫: "マチルダ効果と女性数学者--19世紀末から20世紀中葉の英米女性数学者に関する予備研究"『国際文化学研究』(神戸大学国際文化学部紀要). 19号. 17-43 (2003)
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[Publications] 宗像惠: "フランス啓蒙思想期のジェンダー論争"『近代』(神戸大学『近代』発行会). 90号. 1-28 (2002)
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[Publications] 塚原東吾: "ジェンダーと科学技術:男性が作り出した科学技術が人間疎外を生んだ"アエラムック『ジェンダーがわかる』、朝日新聞社. 78号. 102-105 (2002)
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[Publications] 曽根ひろみ: "娼婦と近世社会"吉川弘文館. 223 (2003)