2001 Fiscal Year Annual Research Report
ポリコーム遺伝子群による免疫系のゲノム・オペレーティングシステムの解析
Project/Area Number |
12490025
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菅野 雅元 広島大学, 医学部, 教授 (40161393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 洋子 広島大学, 医学部, 教務員 (90136060)
石原 浩人 広島大学, 医学部, 助手 (10325160)
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Keywords | ポリコーム遺伝子群 / リンパ球初期分化 / 転写制御 / クロマチン |
Research Abstract |
血球系細胞・免疫系細胞は、1個の幹細胞から分化・成熟することにより、多岐にわたる細胞群を構成している。我々は「リンパ球の運命の維持機構」が存在することを明らかにしてきた。この機構に関しては、唯一、ショウジョウバエの遺伝学で、ポリコーム遺伝子群として知られていた。我々は、世界で始めて哺乳類のポリコーム遺伝子群(その中のmel-18遺伝子)を単離しその解析を、ノックアウト・マウスやトランスジェニック・マウスを用いて特に免疫系で行ってきた。 (1)細胞周期調節に関する機能:細胞周期関連分子の生化学的解析から、mel-18からc-mycそしてcdc25という遺伝子発現の制御経路を発見し、その結果、Cyclin-CDK複合体の活性を調節していることを明らかにした。この結果より、抗原受容体以外のシグナル伝達系による細胞周期調節機構に及ぽす影響を解析した。 (2)細胞死調節に関する機能:ノックアウトマウスでは、免疫系細胞のリンパ球の細胞数減少により、免疫不全症を起こすこと、特にT細胞初期分化の細胞増殖異常が起きていることを明らかにした。さらにこの細胞死メカニズムを検討したところ、BH3ファミリーの発現調節を介して細胞死を制御していることが判明した。 (3)生化学的解析:mel-18蛋白質を含む巨大な複合体を、現在単離・解析中であり、他のポリコーム蛋白質の共存の有無、などの生化学的解析を行っている。現在、この蛋白質複合体の精製にほぼ成功した。この蛋白質複合体は約6MDaと巨大であり、少なくとも数種類のポリコーム遺伝子群産物、ヒストンの脱アセチル化酵素、基本転写因子のTFIIs、アクチン、などが共存していることが分かってきた。この複合体の不安定化による転写抑制機構の破綻が、リンパ球初期分化異常の原因の一つと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Akasaka, T., van Kohuizen, M., van der Lugt, N., Mizutani-Koseki, Y., Kanno, M., Taniguchi, M., Vidal, M., Alkema, M., Berns, A., Koseki, H.: "Mice doubly deficient for Polycomb group genes Mel18 and Bmi1 reveal synergy and requirement for maintenance but not initiation of Hox gene expression"Development. 128. 1587-1597 (2001)
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[Publications] Miyazaki, K., Inoue, H., Onai, N., Ishihara, H., Kanno, M.: "Chemokine-mediated thymopoiesis is regulated by a mammalian Polycomb group gene, mel-18"Immunol Lett.. 80. 139-143 (2002)
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[Publications] Yamasaki, M., Sasho, S., Moriya, H., Kanno, M., Harada, M., Kamada, N., Shimizu, E., Nakayama, T., Taniguchi, M: "Extrathymic development of Vall T cells in placenta during pregnancy and their possible physiological role"J.Immunology. 166. 7244-7249 (2001)
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[Publications] Tanaka, T., Morita, E., Mihara, S., Kanno, M., Yamamoto, S.: "Identification of leukemia inhibitory factor as a potent mast cell growth-enhancing factor produced by mouse keratinocyte cell line, KCMH-1"Arch Dermatol.Res.. 293. 18-25 (2001)