生活関連化学物質の生体暴露評価・内分泌撹乱作用の解明

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12490030
• Research Institution: Hoshi University
• Principal Investigator: 中澤 裕之 星薬科大学, 薬学部, 教授 (50150173)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 加藤 嘉代子 星薬科大学, 薬学部, 助手 (70233781) ; 渡辺 卓穂 星薬科大学, 薬学部, 助手 (80210912) ; 吉村 吉博 星薬科大学, 薬学部, 講師 (00147894) ; 岡田 由美子 国立公衆衛生院, 衛生獣医学部, 研究員 (50232137) ; 山崎 聖美 国立公衆衛生院, 栄養生化学部, 主任研究官 (00218439) ; 井之上 浩一 星薬科大学, 薬学部, 助手
• Keywords: 植物エストロジェン / E-Screen assay / ノニルフェノール / ビスフェノール / イソフラボン / キャピラリー電気泳動法 / 質量分析計

Research Abstract

(1)植物エストロジェンの動態解明
本年度は大豆食品中に含有されるイソフラボン類について、キャピラリー電気泳動法を用いて分離し、検出にはフォトダイーオードアレイ検出器と質量分析計(MS/MS)を用い、6種のイソフラボンの一斉分析法を検討した。構築した分析法を、味噌、きなこ、豆乳、醤油の分析に応用した。今後はより高感度な分析法を構築し、生体試料への応用を検討する。
(2)植物エストロジェンの内分泌系及び免疫系に及ぼす影響について
E-SCREEN assayは、Estrogen Receptor(+)ヒト乳癌細胞であるT47D細胞を10%FBS含有DMEMで培養し、試験にはフェノールレッドフリーのDMEMに低タンパク質溶液を添加し、実験を行った。試験溶液による細胞の増殖能をWST-1法により測定した。その結果、植物エストロジェンの存在で内分泌かく乱化学物質によるヒト乳癌細胞の増殖が抑制され、この作用はレセプターに対する競合反応が推測された。
(3)生活関連化学物質の生体に及ぼす影響の解明
食品包装及び保存に使用されるポリ塩化ビニル製ラップフィルムに使用されている添加剤には、ヒト乳癌細胞であるMCF-7細胞を増殖させる等、エストロゲン様作用を有することが報告されており、安全性の評価法の確立が要求されている。そこで、ポリ塩化ビニル製ラップフィルム中に残存するとされているノニルフェノール、ビスフェノールA等の標準試験溶液についてBinding assayを検討したところ、Estrogen Receptor-αへの結合能が確認された。またE-SCREEN assayを検討したところ、標準試験溶液においてエストロゲン活性が見られ、本法の有用性が確認された。試験溶液についても同様に検討したところ、Binding assayにおいて一部の試験溶液でEstrogen Receptor-αへの結合能が確認された。E-SCREEN assayについても検討を加えた。

Research Products

• [Publications] K.Inoue,Y.Yoshimura,T.Makino and H.Nakazawa: "Determination of 4-nonylphenol and 4-octylphenol in human blood samples by high-performance liquid chromatography with multi-electrode electrochemical coulometric-arrav"Analyst,. 125.. 1959-1961 (2000)
• [Publications] K.Inoue,Y.Yoshimura,T.Makino and H.Nakazawa: "Determination of bisphenol A in human serum by high-performance liquid chromatography with multi-electrode electrochemical detection"J.Chromatogr.A. 749,. 17-23 (2000)
• [Publications] K.Inoue,S.Kondo,Y.Yoshie,K.Kato,Y.Yoshimura,M.Horie and H.Nakazawa: "Migration of 4-nonylphenol from polyvinyl chloride films for food-wrapping into food simulants and foods"Food Additives & Contaminants. 18(2). 157-164 (2000)
• [Publications] 中澤裕之: "ヒト生体試料中の内分泌かく乱化学物質の分析"食品衛生研究. 50(6). 93-99 (2000)
• [Publications] Y,Sun,M.Wada,O.A.Dirbashi,N.Kuroda,H.Nakazawa,K.Nakashima: "High-performance liquid chromatography with peroxylate chemiluminescence detection of bisphenol A migrated from polycarbonato baby bottles using 4-(4,5-diphenyl-1H-imidazol-2-yl) benzoyl chloride as a label"J.Chromatogr.B.,. 749,. 49-56 (2000)
• [Publications] 中澤裕之,井之上浩一: "食品に関係する内分泌かく乱化学物質"食品衛生. No.522. 8-17 (2000)
• [Publications] 中澤裕之,辰濃隆 編集: "内分泌かく乱化学物質と食品容器"幸書房. 183 (1999)
• [Publications] 中澤裕之(監修): "生活関連化学物質データブック"林純薬工業. 319 (1999)