2001 Fiscal Year Annual Research Report
生活関連化学物質の生体暴露評価・内分泌撹乱作用の解明
Project/Area Number |
12490030
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
中澤 裕之 星薬科大学, 薬学部, 教授 (50150173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井之上 浩一 星薬科大学, 薬学部, 助手 (30339519)
加藤 嘉代子 星薬科大学, 薬学部, 助手 (70233781)
吉村 吉博 星薬科大学, 薬学部, 講師 (00147894)
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Keywords | 内分泌かく乱化学物質 / in vitro assay / 可塑剤 / フタル酸ジエチルヘキシン / 雄性生殖 / テストステロン / カラムスイッチング / LC / MS |
Research Abstract |
(1)in vitro assayの構築とその応用 本年度の目標は、内分泌撹乱化学物質に対するin vitro assayの構築と応用であり、最近、注目されている高分子素材由来合成化学物質を対象に検討した。特に可塑剤は、その生産量、使用量、プラスチック中での残留量等からヒトが最も曝露されうる化学物質であると考えられている。又、平成12年度には厚生省が、玩具や食品容器包装資材への一部可塑剤の使用について法的な規制を実施した。そこで、本研究ではin vitro assayを利用して、先ず生殖系の核内受容体(エストロゲンα、エストロゲンβ、アンドロジェン)結合試験を実施して可塑剤の活性を測定した。その結果、最も使用されているフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)及びその他のアジピン酸系、トリメット酸系、クエン酸系の可塑剤には、その結合能は認められなかった。又、E-SCREEN assayを実施した際も同様に顕著な活性は観察されなかった。 (2)雄性生殖系へのフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)の影響評価 in vitro assayで検討した結果、明らかなエストロゲンな活性は観察されなかったが、DEHPには、主に雄性生殖への影響が懸念されている。しかし、その影響を評価するin vitro試験はほとんど報告されていない。そこで、マウス精巣細胞を用いたテストステロン産生能を利用した新規試験法を構築した。本法を用いて、DEHPを評価した際、テストステロン産生能に影響することが判明した。この知見に基づき、実験動物を用いて、雄性生殖系(特に精子形成)に関して調査研究を進めた。その結果、精子形成能に影響を与えることが明らかとなった。 (3)可塑剤(フタル酸ジエチルヘキシル)に新規分析法 (1)及び(2)で検討し、生体の内分泌系に影響することが判明したDEHPは、生活環境、実験室、保存容器等から検出され、測定段階においても汚染されることが、本研究でも明らかになった。ヒトがDEHPに曝露された場合の暴露量の解析やリスク評価には、DEHPに対する精度及び信頼性の高い機器分析法を確立する必要がある。そこで、我々は、カラムスイッチング-LC/MS法を構築し、生体試料の測定や総合的曝露評価の解析を可能とする測定法を構築した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K.Inoue, S.Kondo, Y.Yoshie, K.Kato, Y.Yoshimura, M.Horie, H.Nakazawa: "Migration of 4-nonylphenol from polyvinyl chloride films for food-wrapping into food simulants and foods"Food Additives & Contaminants. 18. 157-164 (2001)
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[Publications] T.Watanabe, H Yamamoto, K.Inoue, A.Yamaguchi, Y.Yoshimura, K.Kato, H.Nakazawa, N.Kuroda, K.Nakashima: "Development of sensitive high-performance liquid chromatography with fluorescence detection using 4-(4,5-diphenyl-1H-imidazol-2-yl) benzoyl chloride as a labeling reagent for determination of bisphenol A in plasma samples"Journal of Chromatography B. 762. 1-7 (2001)
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[Publications] K.Inoue, A.Yamaguchi, M.Wada, Y.Yoshimura, T.Makino, H.Nakazawa: "Quantitative detection of bisphenol A and bisphenol A diglycidyl ether metabolites in human plasma using liquid chromatography-electrospray mass spectrometry"Journal of Chromatography B. 765. 121-126 (2001)
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[Publications] 河村葉子, 井之上浩一, 中澤裕之, 山田 隆, 米谷民雄: "飲料缶からのビスフェノールA移行原因の解明と改良缶の評価"食品衛生学雑誌. 42. 13-17 (2001)
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[Publications] K.Inoue, Y.Yoshie, S.Kondo, Y.Yoshimura, H.Nakazawa: "Determination of phenolic xenoestrogens in water by liquid chromatography with coulometric-array detection"Journal of Chromatography A. 946. 291-294 (2002)
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[Publications] K.Inoue, M.Wada, T.Higuchi, S.Oshio, T.Umeda, Y.Yoshimura, H.Nakazawa: "Application of liquid chromatography -mass spectrometry to the quantification of bisphenol A in human semen"Journal of Chromatography B. (In press). (2002)
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[Publications] 中澤裕之, 辰濃 隆編集: "「内分泌かく乱化学物質と食品容器」"幸書房. 180 (1999)
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[Publications] 中澤裕之 (分担執筆): "季刊化学総説 「内分泌かく乱物質研究の最前線」"日本化学会編 学会出版センター. 224 (2001)