2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12490038
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
BAXTER J・C 国際日本文化研究センター, 海外研究交流室, 教授 (60321618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 貞美 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60179207)
園田 英弘 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50027562)
白幡 洋三郎 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (10135543)
渡辺 雅子 国際日本文化研究センター, 海外研究交流室, 助教授 (20312209)
KERN T・D 国際日本文化研究センター, 海外研究交流室, 助教授 (70321619)
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Keywords | 歴史叙述 / 歴史概念 / ヒストリオグラフィー / 規範意識 / 歴史教育 / 価値 / 自然科学史 / 歴史小説 / ジェンダー・女性史 / 画像史料 |
Research Abstract |
カナダ・カルガリー大学との共催で、平成14年10月30日から11月3日まで、アルベータ州バンフにおいて「歴史意識、ヒストリオグラフィー、近代日本の価値観」と題して国際シンポジウムを開催した。国外から26名、国内から16名の研究者が出席し、発表やコメントを行った。山折日文研所長を始め、計4名の基調講演も行われた。 シンポジウム・セッションの題目は「知覚と歪曲」、「文化交流・伝統にはめ込まれている歴史」、「歴史小説」、「絵その他の画像資料の読み解き」、「20世紀日本における自然・自然科学と哲学、イデオロギー」、「近代日本におけるヒストリオグラフィーとジェンダー」、「映画、舞台における歴史学とヒストリオグラフィー」であった。近代日本におけるヒストリオグラフィー(歴史叙述)をはじめ、メディア・教育・文学・自然科学・ジェンダー研究・芸能・演劇・映画等に現れる歴史意識と価値規範はいかなる関係にあるのかについて研究成果が提供された。日本が多様的かつ複雑な、多層式の社会であることは、それぞれの論文で明確に示されている。そして、その多重な構造がいかにかかわっているかに言及がなされている。「日本人の価値観」、「日本人の規範意識」等を単純に概念化、対象化する試みはきわめて危険で無意味であることはいうまでもない。ゆえに、歴史の語り手、語られる形式の多様性が生みだす複雑で多彩な価値・規範意識とそれらを内面化した国家・社会を把握するための研究は今後も避けることはできないだろう。その意味において、本研究に協力を得た研究者の成果は、人間行動と社会変動の複雑かつ多層的理解に豊かな学問的知識を提供した。 3年間の研究を通して共同研究者の間で得られた共通認識は、今後の日本研究の分野における新たな問題意識と研究課題の豊富な存在を探り当てたことであった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 高橋敏: "幕末民衆の恐怖と妄想"国立歴史民俗博物館20周年記念研究報告. (刊行予定).
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[Publications] Joshua A.Fogel, James C.Baxter 編: "Historiography and Japanese Consciousness of Values and Norms"国際日本文化研究センター. 242 (2003)