2002 Fiscal Year Annual Research Report
PCクラスタ上の格子QCDシミュレーションシステムの開発研究
Project/Area Number |
12554008
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 純 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 教授 (30130876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池坂 守夫 富士通研究所, 主幹研究員
日置 慎治 帝塚山大学, 経営情報学部, 教授 (70238252)
庄司 文由 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 助手 (60310504)
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Keywords | QCD / 並列コード / PCクラスター |
Research Abstract |
本年度の成果は以下の通りである。 1)中村は、フォートラン90による新しいQCDコードを開発し、MPIによる並列化を行った。このコードは、Lattice Tool Kitという名前でオープンソースとして http://nio-mon.riise.hiroshima-u.ac.jp/~LTK/ 公開された。このコードは、以下の我々のグループの計算で使用されると共に、東京大学原子核グループなどでも大規模シミュレーションに利用されている。 2)中村は、Two-Color QCDモデルの有限密度系の格子シミュレーションを行った。Three-Colorモデルにおいて数値計算を著しく困難にするフェルミオン行列式の複素数問題がここでは存在しないため、計算が実行可能となる。密度を増大させていくと、ベクトル粒子の質量が減少することが見出された。これは、CERN-CERESの実験、多くの有効模型でその可能性が示唆されていたが、格子QCD計算では初めて見出された。 3)中村は、有限温度におけるグルーオンのプロパゲータの大規模シミュレーションを行い、グルーオンの電気的、磁気的質量をRHICエネルギー領域に相当する温度で求めた。磁気的グルーオン質量を非摂動的に求めた初めての計算である。硬熱再加算法による摂動論の計算とよい一致をみた。 4)中村は、ハドロン質量の化学ポテンシャルに対する感受率を格子QCDの数値シミュレーションで計算し、NJLモデルと比較した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Muroya, A.Nakamura, C.Nonaka: "Behavior of Hadrons at Finite Density"Physics Letters. B551. 305-310 (2003)
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[Publications] A.Nakamura, I.Pushkina, T.Saito, S.sakai: "Screening of hot gluon"Physics Letter. B549. 133-138 (2002)
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[Publications] O.Miyamura, S.Choe, Y.Liu, T.Takaishi, A.Nakamura: "Responses of quark condensates to the chemical potential"Physical Review. D66. 77502 (2002)
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[Publications] S.Choe 他: "Responses of hadrons to chemical potential at finite temperature"Nuclear. Physics. A698. 395-399 (2002)
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[Publications] 中村純, 野中千穂, 室谷心: "量子色力学シミュレーションの並列化"計算工学講演会論文集. Vol.7. 191-194 (2002)
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[Publications] 中村純, 日置慎治, 青山幸也: "川田重夫他編、別冊日経サイエンス「シミュレーション科学への招待・コンピュータによる新しい科学」"並列処理でシミュレーション. 26-33 (2002)