2001 Fiscal Year Annual Research Report
山岳氷河の氷厚測定用インパルス式アイスレーダの開発
Project/Area Number |
12554015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
成瀬 廉二 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (10002099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 正晴 (株)ウォールナット, 技術部長(研究職)
前野 英生 通信総合研究所, 地球環境計測部, 研究官
竹井 巖 北陸大学, 薬学部, 講師 (70247477)
藤田 秀二 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30250476)
白岩 孝行 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (90235739)
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Keywords | アイスレーダ / インパルスレーダ / 地中探査レーダ / アサバスカ氷河 / 山岳氷河 / 内部反射層 / 氷厚 / 積雪 |
Research Abstract |
本研究は、温暖氷河の氷厚測定、および氷河内部の層構造探査のための小型、軽量、小電力の高性能アイスレーダを開発、実用化することを目的としている。前(2000)年度には、種々仕様を検討した結果、インパルス式「低周波アイスレーダ」(5MHz)を新規に製作し、「高周波アイスレーダ」(900MHz)として既存の地中探査レーダを購入した。 2001年6月、カナダ・ブリティッシュコロンビアのアサバスカ氷河にて、アイスレーダテストのための予察調査と情報収集を行った。その結果をふまえ、9月9日から22日まで同氷河において低周波アイスレーダのテストを行った。その結果、1)送信機不調、2)受信信号異常、3)反射信号受信不調、等の不具合が生じた。帰国後、故障の原因を検討し、種々改良の結果正常に作動するようになった。2002年度には、あらためて氷河におけるテストを行う予定である。 一方、高周波アイスレーダについては、2001年1月から5月にかけて北海道各地と立山室堂平にて、積雪層構造や雪質による反射特性、およびアンテナの方位、角度、高さの影響についての野外実験を行った。いずれの積雪においても、底面の地形は明瞭に検知できた。これらの野外測定により得られたレーダデータを解析するとともに、ノイズの評価と除去、電波の空間減衰に関する較正実験を行った。以上のデータ処理を施すことにより、積雪内部の厚い氷板や密度の著しい不連続層が内部反射層として検知できることが分かった。また、本レーダによるエコーの遅延時間から積雪水量を見積もる経験的関係が得られた。これは、氷河上で冬期積雪量の面的分布の調査に有効である。
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