2001 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー放射光蛍光X線分析による地球惑星物質の起源解明
Project/Area Number |
12554020
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 利男 兵庫県警察本部, 刑事部・科学捜査研究所, 所長
櫻井 吉晴 (財)高輝度光科学研究センター, 放射光研究所, 主幹研究員
中村 智樹 九州大学, 理学部, 助手 (20260721)
寺田 靖子 (財)高輝度光科学研究センター, 放射光研究所, 研究員 (90307695)
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Keywords | 放射光 / 非破壊分析 / 高エネルギー蛍光X線分析 / 重元素分析 / 地球科学 / 法科学 / 異同識別 / 塗膜 |
Research Abstract |
本年度は2次元分析法の開発、ならびに科学捜査への応用について基礎的検討をおこなった。SPring-8のビームラインBL08Wにおいて、XY試料ステージをパルスモータで2次元走査することにより、2次元分析をおこなうための制御ソフトを開発した。116keVのウイグラーからの放射光を、スリットにより0.1mm程度に絞って、xyステージ上の試料に照射することにより、ウランまでの全ての元素について、非破壊2次元分析が可能になった。実試料への応用として、光学的に累帯構造を示すガーネットについて、2次元分析を行ったところ、ゾーニングに対応して、希土類元素やタングステンが分布していることが明らかになった。特に興味深いことに、軽希土と重希土元素で、その分布が逆転するという現象がみいだされた。これは、ガーネットが晶出したとき、先に軽希土が析出し、鉱液の残液の重希土濃度が高まることにより重希土が析出したことで、このような動的現象を2次元的に観察されるのは大変珍しい。科学捜査への応用では、種々のヘッドライトのガラスについて、高エネルギー蛍光X線分析による特性化をおこなった。ヒ素、アンチモン、バリウム、ハフニウム、セリウムがその分類の指標となることがわかり、異同識別法として実用化できることがわかった。さらに、自動車塗料等の白色塗膜片の高エネルギー放射光蛍光X線分析による特性化をおこなった所、ニオブ、錫、タングステン、タンタルなどが微量重元素として検出され、白色塗膜片の異同識別が可能であることが明らかになった。いずれも、従来は微細な試料では分析が困難な対象で、本研究で開発された高エネルギー放射光蛍光X線分析で初めて可能になった手法であり、本年9月に国際法科学会で発表される予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y. Terada, K. Yasaka, F. Nishikawa, T. Konishi, M. Yoshio, I. Nakai: "In situ XAFS analysis of Li(Mn,M)204(M=Cr,Co,Ni)5V cathode materials for Lithiumion secondary batteries"J, Solid State Chem.. 156. 286-291 (2001)
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[Publications] J.C. Lee, S. A. Song, Y. Yuryev, Y. Terada, I. Nakai, C.B. Lim: "Development of multipurpose laboratory XIESS spectrometer and its application to surface XAFS analysis of Al203 films"J. Synchrotron Rad.. 8. 360-362 (2001)
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[Publications] I. Nakai, Y. Terada, M. Itou, Y. Sakurai: "Use of highly energetic (116kev) synchrotron radiation for X-ray fluorescence analysis of trace rare-earth and heavy elements"J. Synchrotron Rad.. 8. 1078-1081 (2001)
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[Publications] K. Fukuda, M. Matsunaga, Y. Kato, I. Nakai: "Chemical speciation of trace titanium in Hamersley banded iron formations by X-ray fluorescence imagine and XANES analysis"J. Trace and Microprobe Techniques. 19. 509-519 (2001)
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[Publications] T. Suzuki, A. Sasaki, I. Nakai: "Total reflection X-ray fluorescence analysis of cisplatin platinum in human cancerous tissues obtained by biopsy"J. Trace and Microprobe Techniques. 19. 547-561 (2001)
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[Publications] 寺田靖子, 中井 泉: "高エネルギー蛍光X線分析"岩石鉱物科学. 30. 88-89 (2001)