2000 Fiscal Year Annual Research Report
人工細胞膜界面の設計と生体認識機能評価システムの開発
Project/Area Number |
12554029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早下 隆士 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70183564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西沢 精一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40281969)
内田 達也 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30261548)
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Keywords | 人工細胞 / チオ尿素型プローブ / ベシクル / アニオン認識 / 比色分析 |
Research Abstract |
本研究では,人工細胞膜界面の設計と生体認識機能評価システムの開発を目的として,認識部位にチオ尿素を有する比色プローブを設計し,人工細胞膜モデルとなるベシクル反応場におけるアニオン認識機能の評価を行った。まず種々のアルキル鎖長を有するチオ尿素型比色プローブ(C_n-TU)を合成し,これらのプローブをカチオン性の人工ベシクルに包接させ,水中におけるアニオン認識機能を調べた。C_n-TUは,バルク有機溶媒中ではアニオンと水素結合に基づく1:1型錯体を形成し,顕著な吸収スペクトル変化を示す。ベシクル内に包接されたC_n-TUもバルク中のアニオンに応答し同様のスペクトル変化を示すが,応答はアニオン濃度に対しsigmoid型の曲線となることがわかった。これはベシクル内部のC_n-TUと応答するためには,アニオンがベシクル表面に蓄積される必要があることを示している。Hill plot型の解析を行い,それぞれのC_n-TUが応答するために必要なCl^-のベシクル表面への結合数を求めたところ,C_n-TUがベシクル深部に存在するほど結合数が大きくなることを見出した。ベシクル内での存在位置の違いに基づくアニオン認識機能の違いを調べた結果,発色団が界面近傍に存在するC_8-TUではCl^-とHCO_3^-に対する応答選択性が認められないのに対し,ベシクル内部に存在するC_1-TUでは高いCl^-選択性が現れることがわかった。これはベシクル内へのアニオンの透過性の違いに基づくものと思われる。このように,チオ尿素型比色プローブ/ベシクル複合体では,ベシクル内のプローブ分子の存在位置を深さ方向で制御することによって,バルク有機溶媒中とは全く異なる選択性で,高選択的なアニオン認識が可能であることを明らかにした。
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[Publications] T.Hayashita,T.Onodera,S.Nishizawa,N.Teramae, et al.: "Positioning Dependent Anion Recognition by Thiourea-Based Chromoionophores via Hydrogen Bonding in Aqueous Vesicle Solution"Chemical Communications. 755-756 (2000)
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[Publications] A.Yamauchi,T.Hayashita: "Design and Function of Metal Ion Probes Based on Photosignal Transduction"Bunseki Kagaku. 49. 75-89 (2000)
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[Publications] A.Tong,T.Hayashita,B.D.Smith,N.Teramae, et al.: "Boronic Acid Fluorophore/β-Cyclodextrin Complex Sensors for Selective Sugar Recognition in Water"Analytical Chemistry. (印刷中). (2001)