2000 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧環境下での原子レベル観察を可能にする透過電子顕微鏡用試料ホルダーの開発
Project/Area Number |
12555017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高井 義造 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30236179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 球琳男 日本電子株式会社, 副主幹研究員
永富 隆清 大阪大学, 工学研究科, 助手 (90314369)
木村 吉秀 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70221215)
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Keywords | 透過型高分解能電子顕微鏡 / 環境ホルダー / 生体試料観察 / 圧力隔壁膜 / ガス雰囲気対応 / 超解像位相差電子顕微鏡 / 球面収差補正 / 位相像観察 |
Research Abstract |
本研究は、大気圧環境下での原子レベル観察を可能にする透過型電子顕微鏡用試料ホルダーを開発することを目的とする。大気圧までのガス雰囲気を実現する試料ホルダーの開発により、水を含む生体組織をありのままに観察することや、触媒反応のようにガスがなければ実現されない化学反応を原子レベルで顕微鏡観察することが可能になる。 本研究の主な実験内容は、1)ガス中での電子散乱過程を理解し、試料ホルダーの設計に役立てること、2)大気圧に耐える極薄真空隔壁膜を作製すること、3)既存の雰囲気ホルダーを購入し、大阪大学に既設の超解像位相差電子顕微鏡(HF-2000F)で利用できるように改造すること、4)雰囲気試料ホルダーを電子顕微鏡内に挿入できる試料導入機構を設けること、5)ガスの貫流が制御できるガスコントロール部を完成させること、等である。 本年度の成果としては、 (1)ガス中での電子散乱のシミュレーションコードを完成させ、1気圧の環境下での電子顕微鏡観察が可能であることを明らかにし、論文を投稿した。 (2)電子線の透過性を確保し、かつ大気圧を保持できる真空隔壁膜の作製に成功した。トリアセチルセルロースを応力が集中することを避ける緩衝膜として用いることで、厚さがわずか20nmであるにもかかわらず、1気圧に耐える真空隔壁膜を20%の確率で作製することに成功した。現在成果の公表に向けて準備中である。 (3)既存の雰囲気ガス試料ホルダーを購入し、超解像位相差電子顕微鏡用に改良中である。 (4)雰囲気ガス試料ホルダーのガス貫流装置、ならびに試料ホルダー導入装置を完成させた。 次年度は、雰囲気ガス試料ホルダーを完成させて、生体試料の高分解能観察に挑戦すると共に、大阪工業技術研究所の春田正毅主席研究管との共同研究で謎となっていた点、すなわち、チタニアに担持された金微粒子のどの部位が触媒活性点かを見極める実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)