2002 Fiscal Year Annual Research Report
家庭用ゲーム機プレイステーション2による大規模並列流体解析システムの構築
Project/Area Number |
12555021
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 尊之 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (00184036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 正典 産業技術総合研究所, 爆発安全研究センター, 副センター長
奥村 晴彦 松坂大学, 政策学部, 教授 (10247760)
矢部 孝 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60016665)
塙 雅典 山梨大学, 工学部, 助教授 (90273036)
野澤 恵 茨城大学, 理学部, 助手 (10261736)
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Keywords | プレイステーション2 / Linux / 並列計算 / 流体解析 / Power PC / G4 Cube / Emotion Engine / Velocity Engine |
Research Abstract |
昨年度導入した20台のプレイステーション2 Linux kitで、並列の数値流体シミュレーションを行った。非圧縮性流体の場合、大量のネットワーク通信を伴うポアソン方程式の解法が最も大きな課題となる。並列化が容易なSOR法で2次中心差分法による離散化式と、局所補間微分オペレータ法による4次精度の離散化式を解いた。Linux kitに付属するGNUのコンパイラは、プレイステーション2のCPUであるEmotion Engine(EE)の高速化アーキテクチャを利用する最適化が行えず、インライン・アセンブラにより直接EEのベクトル・レジスタVU0を利用することにした。ベクトル・レジスタVU0を4並列で効率よく実行する必要があるが、メモリーからデータをロードするのに時間がかかり、その間はVU0が休んでしまう結果となった。これを回避するために、VU0の演算スケジュールを工夫し、データのロード・ストアを含めて450MFlopsの計算速度を達成した。プレイステーション2が高速のRAMBUSメモリーを用いているために、CPUキャッシュに入りきらないデータに対するアクセスに対しても余り速度が低下しないことが明らかになった。 EEのもう一つの問題点として指摘されている「VU0が単精度演算しか行えないこと」を解決する必要がある。倍精度計算に対しては浮動小数点演算プロセッサが働かなくなり、計算速度は100分の一以下に低下してしまう。単精度計算で直接従属変数からポアソン方程式を計算すると桁落ちが生じてしまうので、残差から修正方程式を導出し修正量を求めて従属変数に加算・減算して修正する方法を開発した。修正方程式を解く際に桁落ちなどの誤差が入るが、反復ごとに修正値が小さな値に移行し、従属変数の精度範囲をまかなえることが明らかになった。 非圧縮性流体の移流部分や圧縮性流体に対しては局所補間微分オペレータ法が少ないメモリーに対して高精度な計算を行うことができ、プレイステーション2に適していることが分かった。また、ルンゲクッタ時間積分を行うことにより安定な計算ができることが明らかになった。
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[Publications] 吉田浩, 青木尊之, 内海隆行: "ルンゲクッタ時間積分を用いた局所補間微分オペレータ(IDO)法による双曲型方程式解法の計算精度と数値安定性の向上"電子情報通信学会論文誌A. J86-A, [3]. 223-231 (2003)
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[Publications] 今井陽介, 青木尊之, 小原徹也: "IDO法によるLMR(Local Mesh Refinement)を用いた血流シミュレーション"日本機械学会 第15回 バイオエンジニアリング講演集. 15. 167-168 (2003)
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[Publications] 小原徹也, 青木尊之, 店橋護: "局所補間微分オペレータ(IDO)法による舌流DNS-スペクトル法の精度に迫る"第16回 数値流体シンポジウム・講演要旨集. 16. 191 (2002)
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[Publications] 加藤香, 青木尊之, 吉田正典, 久保田士郎: "極端密度・圧力比の初期条件に対する爆風シミュレーション"第16回 数値流体シンポジウム・講演要旨集. 16. 81 (2002)
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[Publications] 今井陽介, 青木尊之: "IDO-LMR法を用いた直交格子ベース血流シミュレーション"第16回 数値流体シンポジウム・講演要旨集. 16. 108 (2002)
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[Publications] 青木尊之, 古市潔, 高橋通: "離散要素法シミュレーションのアナグリフ立体表示"日経サイエンス. 01. 110 (2003)
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[Publications] Takayuki Aoki, Tetsuya Kobara, Mamoru Tanahashi: "Interpolated Differential Operator (IDO) Scheme and Application Test to Turbulent Flow"5th China-Japan Workshop on Turbulent Flows, Tianjin, China. 5. 1-2 (2002)
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[Publications] 出口洋平, 青木尊之: "IDO法を用いた球座標系での高精度流体計算"日本機械学会・第15回計算力学講演会,講演論文集. 02,02. 531-532 (2002)
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[Publications] 小原徹也, 青木尊之, 店橋護: "スペクトル法の精度に迫るIDO法乱流DNS計算"日本機械学会・第15回計算力学講演会,講演論文集. 02,02. 555-556 (2002)
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[Publications] 今井陽介, 青木尊之: "IDO法によるLMR(Local Mesh Refinement)を用いた非圧縮性流体の高精度計算"日本機械学会・第15回計算力学講演会,講演論文集. 02,02. 441-442 (2002)
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[Publications] 青木尊之: "計算力学の立体的可視化技術とその効果"日本機械学会2002年度年次大会・講演論文集. 02-1, VIII. 67-68 (2002)
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[Publications] 西田青示, 青木尊之: "CADデータで表現した複雑形状に対するAMR法の格子生成と可視化"日本機械学会2002年度年次大会講演論文集. 02-1, I. 19-20 (2002)
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[Publications] Takayuki Aoki, Hiroshi Yoshida: "Shallow Water Equations in Sphereical Geometry Solved by a High-accurate IDO Scheme and Overset Grid"The 2002 Workshop on the Solution of Partial Differential Equations on the Sphere. 5-6 (2002)
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[Publications] K.Sakurai, T.Aoki: "Poisson Equation Solver with Fourth-order Accuracy by using Interpolated Differential Operator Scheme"Comp. Math. Appl.. 43. 621-630 (2002)
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[Publications] 綿部良介, 青木尊之: "局所補間を用いた高精度PIC法の開発"電気学会研究会資料. PPT02,1-10. 23-28 (2002)