Research Abstract |
本研究では,Si単結晶などのマイクロマシン用材料に注目して,破壊特性について検討し,信頼性があり,寿命予測の可能なマイクロエレメントやMEMS設計のための強度マップを構築するための基礎データを得ることを目的とする。本年度は,微小機械要素の引張・疲労試験を実施するために,新たにポリシリコン微小引張試験片を新たに創製した。すなわち,CVD法によりSiウェハ上にポリシリコンを成膜後,反応性イオンエッチングによりパターン化した後,PSG犠牲層を除去することにより幅が5-10μm,厚さ3.5μm,ゲージ長さ100-200μmの引張誠験片を作成した。さらに,ピエゾ素子による移動機構を用いたステージと微小ロードセル等を用いて,薄膜用動的引張・疲労試験機を新たに開発するとともに,昨年度開発した試験片チャッキング方法を用いて,引張試験が十分な精度で実施できることを確認し,幅10μmでは引張強度は約0.9GPa,幅5μmでは約3.7GPaと極めて高い強度特性を有していることを示した。さらに薄膜そのもののひずみを測定するために2視野顕微鏡援用変位測定システムを設計し,イオンビーム支援CVD法による標点を用いることにより薄膜のひずみそのものを測定できることを確認し,現在,ポリシリコンの強度特性に及ぼす試験片幅,ひずみ速度・環境の影響について検討している。さらに,シリコン単結晶曲げ微小試験片を対象として,水環境の影響について検討し,微小材料においては,mmオーダのバルク材では環境の影響が生じない場合も,動的応力と水環境,さらに微小構造物特有の高負荷荷重の影響を受けて,強度特性が低下することを明らかにした。併せて,高純度SiO_2微小機械要素の環境強度に及ぼす水環境・水浸漬時間の影響について検討し,純度を極めて高めることにより,水環境の影響を受けず,環境ぜい化感受性が低下することを示し,今後の耐環境性のあるマイクロマテリアルの設計指針を得た。
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