2000 Fiscal Year Annual Research Report
コンタクト形磁気ヘッド用分子気体/分子液体統合形ダイナミクス解析システムの開発
Project/Area Number |
12555041
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
福井 茂寿 鳥取大学, 工学部, 教授 (40273883)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 礼三 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20283955)
加藤 孝久 産業技術総合研究所, 機械技術研究所, 特別研究室長
松岡 広成 鳥取大学, 工学部, 講師 (10314569)
|
Keywords | マイクロトライボロジー / 分子気体潤滑(MGL) / モンテカルロ直接シミュレーション(DSMC) / 分子液体潤滑 / メンスカス力 / 磁気ディスク装置 / 浮動形磁気ヘッド / マイクロメカニズム |
Research Abstract |
高度情報通信システムの進展やインターネットの普及に伴う膨大な情報の蓄積技術への要請に応えるため、磁気ディスク装置の記録ヘッドと記録媒体の浮上すきまは20nm程度にまで超微小化され、更なる微小化のために磁気ヘッドと記録媒体が一部接触する"ニアコンタクト状態"、あるいは分子レベルの超薄膜液相を介した"コンタクト状態"となりつつある。そこで本研究では、超高密度磁気ディスク装置用のヘッド機構実現を目指して、10nm程度以下のニアコンタクト状態(Near-contact state)あるいはコンタクト状態で相対すべり運動する記録ヘッドの動的挙動(ニアコンタクトダイナミクス)を、ミクロ/ナノメータ領域における分子気体あるいは分子液体による力学作用を考慮して詳細に解析しうるシミュレーション基本技術を開発し、これによりヘッド形状設計のための指針を得ることを目的とする。 本期間では、まず気体浮上あるいはニアコンタクト動特性について、i)近年実績を増してきた分子気体潤滑(MGL)方程式によるニアコンタクト動特性の精緻な解析手法として、CIP法と呼ばれる新しい数値解析手法の分子気体潤滑問題への適用を試み、その基本的な有用性を確認し、今後の気液界面を有するシミュレーションへの見通しを得た。また、ii)気体の分子挙動を直接シミュレーションするモンテカルロ直接シミュレーション法(DSMC法)と分子気体潤滑方程式による解析を相補的に統合した新たなシミュレーション手法を確立しつつある。つぎに、分子レベルの超薄膜液層を介したコンタクト動特性については、iii)気液界面で生ずる表面張力(メニスカス力)を考慮した薄膜液層のダイナミクス特性の把握のため、高精度実験装置の設計・製作と実験手法の確立を行い、それによる振動伝達の超精密実験によるデータ蓄積を行うとともに、単純化モデルによる理論解析を行い、メニスカスを有する薄膜液層がばね要素と減衰要素のモデルで説明しうることを定量的に確認した。 これらの結果により、コンタクト形磁気ヘッド用分子気体/分子液体統合形ダイナミクス解析システムのための基本的知見を的確に解明しつつあるといえる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 松岡広成,福井茂寿,加藤孝久: "マクロメニスカスの振動伝達特性に関する研究-動的ばね定数および減衰係数の周波数依存性-"トライボロジスト. 45巻・10号. 757-768 (2000)
-
[Publications] 山根清美,福井茂寿: "分子気体潤滑問題への直接シミュレーションモンテカルロ(DSMC)法の適用(逆ステップ形動圧気体軸受を対象とした諸特性の詳細検証)"日本機械学会論文集(C編). 67巻・653号. 246-253 (2001)
-
[Publications] Fukui,S.and Yamane,K.: "Molecular Gas Film Lubrication in Ultra-High Knudsen Number Regime-New Formulation of MGL Problems for Free Molecular Flow-"Synopses of ITC Nagasaki 2000. 52 (2000)
-
[Publications] Yamane,K.and Fukui,S.: "Stress on Air Bearing Surfaces with Ultra-thin Spacings -Influence of Surface Accomodation Coefficient-"Synopses of ITC Nagasaki 2000. 449 (2000)
-
[Publications] Matsuoka,H.,Kato,T.and Fukui,S.: "Adhesion Forces between Mica Surfaces in Undersaturated Vapors of Hydrocarbons "Synopses of ITC Nagasaki 2000. 46 (2000)
-
[Publications] 小西範和,山根清美,福井茂寿,鈴木允: "ニアコンタクト領域のMGLダイナミクス解析(CIP法に基づく数値スキームの検討)"日本機械学会年次大会講演論文集. II・00-1. 171-172 (2000)