Research Abstract |
本研究の目的は,静電流体力学(EHD),電磁流体力学(MHD),プラズマ工学,化学工学等を応用して,室内,極限環境下での実験室,クリーンルームあるいは大気環境下での,ダスト,粉じんなどの浮遊微粒子,ならびに従来技術では処理が困難であったガス状有害化学物質を同時に完全除去する新しい環境保全装置の開発を行うことにある. 本年度の研究では,実験装置として高誘電体BaTiO_3充てんパックドベッドプラズマリアクタと,直流高電圧によるコロナ放電を用いる二段式電気集じん装置を結合させた.また強力な磁場を発生する直流電磁石を購入し,磁場によるプラズマリアクターの性能向上の可能性を追求した.プラズマ電源としては,AC電源,ローテーティングスパークギャップを用いてパラメトリックスタディを行い,有害ガス分解の最適化を図った.ガス反応生成物ならびに発生したエアロゾルを赤外線分光を用いたFT-IR分析装置とガス分析計で同定および定量測定し,その化学反応プロセスを検討した.またシステムの第2段目である電気集じん装置(ESP)の評価は,小型風洞を作成し,ESPの前後でパーテイクルカウンタを使用して,粒子径ごとの集じん効率を求めることにより行った.以上の実験を通し,初年度はプラズマリアクタによる分解効率99%,エネルギー消費率SED=30J/L,浮遊微粒子あるいはエアロゾルの捕集効率99.9%を実用化目標としたが,それぞれ,90%,45J/L,99%という値を達成し,目標までもう一歩である. 次に申請者が長年改良に努めてきたプラズマ流のシミュレーションコードを改良して,有害ガス分解の化学反応を組み込み,プラズマリアクターおよびESP内の流れの数値シミュレーションを行い,高効率のための新たな設計指針や相似法則を導くことを試みた.特に磁場が性能ならびに流れに及ぼす影響について今後詳細に検討する予定である.
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