電気力学効果を用いた生体分子の分離・分析装置の開発

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12555076
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 鷲津 正夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10201162)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 川端 智久 和光純薬工業, 大阪研究所, 研究員 ; 加畑 博幸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70293884)
• Keywords: 誘電泳動 / 微小化学分析システム / マイクロTAS / クロスフローインジェクター / DNA / 分離 / 分析 / 微細加工

Research Abstract

本研究の目的は,a)電気力学的効果,具体的には誘電泳動を用いた生体分子(DNA・タンパク等)の分離分析技術,および,b)その前処理・後処理を含めたμ-TAS (micro Total Analysis System)に関する実用化研究を行うことにある。具体的には,微細加工電極列を用いて水溶液中に高周波高電界を作り,ここでの誘電泳動を用いて生体分子の分離・分析を行う手法,すなわち誘電泳動クロマトグラフィーについて,装置を開発するとともに,DNAのサイズの解析,タンパクの分離・分析,抗原抗体反応の定量的検出についての印加周波数・電界強度・溶液導電率などの最適条件設定を行うことを目標とした。
平成14年度は,入口からパルス的に試料を注入するために圧力駆動型のクロスフローインジェクターを用いたシステムの構築とその特性評価を行った。その結果得られた成果は,以下に要約される。1)圧力駆動型クロスフローインジェクターが誘電泳動クロマトグラフィーの試料注入装置として適切なものであることを実証した。2)誘電泳動クロマトグラフィーを用いたDNAの分離を実験的に示し,この手法が特に数kb以上の大きいDNAに関して,従来のパルスフィールド電気泳動に代わる高速な分離分析手段となることを示した。3)誘電泳動クロマトグラフィーがタンパクの分離にも使えることを示唆するデータを得たが,これを実用化するには,導電率の正確な制御方法が必要であることがわかった。

Research Products

• [Publications] H.Sano, H.Kabata, O.Kurosawa, M.Washizu: "Dielectrohporetic Chromatography with Cross-Flow Injection"Technical Digest of The Fifteenth IEEE MEMS. 11-14 (2002)
• [Publications] 軍司昌秀, T.B.Jones, 鷲津正夫: "誘電泳動による液滴の形成と融合"静電気学会2002全国大会講演論文集. 155-158 (2002)
• [Publications] M.Gunji, T.B.Jones, M.Washizu: "DEP-driven simultaneous 2 x 2 droplet mixer array"Proc. Micro total analysis systems 2002. 721-723 (2002)
• [Publications] 鷲津正夫: "ポストゲノムとバイオナノテクノロジー"機械学会第14回バイオエンジニアリング講演会講演論文集. 5-8 (2002)
• [Publications] Masao Washizu: "Molecular Manipulation of DNA and Its Applications"Workshop "DNA-Based Molecular Construction. 7-7 (2002)
• [Publications] Masao Washizu: "Bio-Nanotechnology of DNA"IEEE-EMBS Special Topic Conference on Microtechnologies in Medicine and Biology Proceedings. 1-6 (2002)