2000 Fiscal Year Annual Research Report
定着用膨張材で定着した連続繊維緊張材の疲労特性の解明と大容量ケーブル定着法の開発
Project/Area Number |
12555129
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
原田 哲夫 長崎大学, 工学部, 教授 (50136636)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
添田 政司 福岡大学, 工学部, 講師 (50148871)
|
Keywords | 連続繊維緊張材 / 定着 / 疲労 / 定着用膨張材 / CFRP / マルチケーブル / 定着具 |
Research Abstract |
定着用膨張材を用いた定着法では、エポキシ樹脂定着法による疲労試験結果より、CFRPより線の疲労特性が格段に向上するという興味深い結果が得られているが、そのメカニズムは十分に解明されていない。連続繊維緊張材の中でも、まず、CFRPより線を取り上げ、それを斜張橋のステーケーブルや吊り橋のメインケーブルとして使用するためには、CFRPより線の材料的な疲労特性とは何かという疑問を明らかにし、定着法によってなぜこのような差が生じるのか、そのメカニズムを究明することが本研究の目的である。また同時に、斜張橋のステーケーブルや吊り橋のメインケーブルとしての実用を目指し、定着用膨張材を用いた連続繊維緊張材マルチケーブル用大容量定着具の開発を目的としている。今年度の成果をまとめると以下のようである。 1.CFRPより線をエポキシ樹脂定着した場合には、繰り返し荷重によって定着具口元部分から温度が急激に上昇し、定着具全体に温度上昇の広がりが見られた。しかしながら、定着用膨張材による定着では、急激な温度上昇は見られなかった。このことより、温度上昇(応力振幅、載荷速度に依存)によるCFRPより線のマトリックス樹脂の劣化が、疲労特性に影響を及ばしていると考えられる。 2.定着用膨張材による定着では、繰り返し載荷過程で、定着具内部にせん断応力が残留しており、一種のプレストレスとして作用していると考えられる。すなわち、定着具内の荷重振幅が見かけ上小さくなり、CFRPより線の疲労特性に有利に作用することが考えられる。 3.CFRPより線(ψ15.2)を12本用いた定着用膨張材によるマルチケーブル定着具を作成し、引張り載荷試験を実施したところ、いずれも2500kN以上の荷重で、CFRPより線が破断した。このことより、実用化への目処がついたと思われる。
|