Research Abstract |
昨年度,DO, pH,クロロフィルa,水温,深度等のセンサーならびにそれらの一定時間間隔での測定値を保存する水質モニターを,コンピュータ制御で上下させることが出来るシステムを開発した.本年度はこのシステムを8, 9, 11, 1月の4回それぞれ1-2週間にわたり霞ヶ浦湖心に設置して,その動作を確認するとともに,生物活性を連続測定した. DO, pHは昼間高く,夜低くなるパターンを繰り返し,水域での生物活性が高いことを示した.また,風の強くない午前の時間帯では水質には鉛直分布が生じたが,風が強くなると全水深様化した.こうした結果をもとに,光合成量、呼吸量を算定する方式を検討した.すなわち,DO, pHの時間変化には生物活動以外に大気との交換,濃度の異なる上下層の混合が影響している.このため,風の影響が大きくない場合には,鉛直上下層からの拡散を補正し,風の影響が大きい場合にはその影響が全水深にわたり均一に生じるとしたモデルを作成し,それらの効果を除去する計算方式を開発した. 以上の方式から得られた生物活動に基づくDO, pH変化をもとに,それらの比であるMQ(Metabolic Quotient)を算定したところ,ほぼ1となり,霞ヶ浦における栄養塩循環が再利用系であることを明らかにした.また,鉛直積分した光合成量が光量と,呼吸量が水温と密接な関係を有することを定量的に示した. また,クロロフィルaの連続観測結果に激しい日周変化が見られたことから,その原因を実験的に調べた結果,センサーの用いている波長域の問題と,クロロフィルaの蛍光特性が日周変化することの両方が影響していることがわかった.
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