Research Abstract |
昨年度,霞ヶ浦湖心で4回測定を行ったDO, pH,クロロフィルa,水温,深度等の観測データをもとに,生物活性を推測する方式を検討した.すなわち,水温による密度差を考慮して鉛直拡散係数を推定し,鉛直混合量を予測するモデル1,大気交換の影響が全水深均一に生じるとするモデル2,最上層と最下層の水温差から成層しているかを判定し,成層している場合にはモデル1を,成層していない場合にはモデル2を用いるモデル3,成層破壊時には全層均一の生物現象による変動があるとするモデル4を,それぞれ観測結果に当てはめた結果,モデル4により滑らかな生物活性変化が得られることを確認した. また,山口県佐波川水系島地川ダムの堤体に設置され,上下移動可能な水質センサー(水温,電気伝導度,pH, DO,クロロフィルa,濁度)を年4回,それぞれ1週間にわたり,1m間隔21水深を1時間に1回ごと上下するようにプログラムし,鉛直水質変動を連続観測した.水深2-4mに生物活性の高い層があり,DO, pHの日周変動が大きいこと,また水深15m以深では時間の経過とともに貧酸素化してゆく様子が観察された.こうしたシステムは,ダム湖などの水質管理に極めて重要な情報を提供しうることがわかった. さらに,海域,観潮域など水の入れ替わりに激しい水域では上述のようなフリーウォーター法では誤差が大きい.このため,プラスチック製の箱中に水質センサーを取り付け,定期的に中の水が入れ替わる仕組みを作り,また底面にスターラーを配置しセンサーをゆるやかに攪拌した.こうした装置を屋外実験池に取り付け,システムの動作確認を行い,問題なく動くことを確かめた.
|