火災性状予測モデルを利用した工学的火災安全設計法の開発研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12555163
• Research Institution: KYOTO UNIVERSITY
• Principal Investigator: 原田 和典 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90198911)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 高田 暁 京都大学, 工学研究科, 助手 (20301244) ; 田中 哮義 京都大学, 防災研究所, 教授 (70293959) ; 鉾井 修一 京都大学, 工学研究科, 教授 (80111938) ; 大宮 喜文 (独)建築研究所, 主任研究員 (10287469) ; 松山 賢 東京理科大学, 理工学研究科, 助手 (10307704)
• Keywords: 火災安全設計 / 初期拡大 / 煙制御 / 階段シャフト / 排煙効率 / 目標安全性指標

Research Abstract

本研究においては、火災性状予測に基づく建築物の火災安全設計を普及させるために必要な基盤技術の整備拡充のため、1)種々の建築空間における可燃物の実態および燃焼性状に関するデータの集積および複数可燃物(群)間の延焼拡大とFOに至る条件の把握、2)竪穴等の特殊な空間や煙制御(機械排煙)を行った時の流れの定式化、3)火災安全設計の目指安全水準を工学的に導き、提案を行った。
項目1)に関しては、既往の建物調査および各種物品の燃焼実験データを整理するとともに、駐車場を年頭においた火災実験データを整理分析し、設計資料としての整備を行った。また、多数の可燃物が存在する空間について複数可燃物間の延焼拡大予測モデルを作成し、感度解析を行った。
項目2)については、7階建て実在建物において階段内でアルコールパンを燃焼させたときの煙(熱気流)の上昇性状を測定し、ピストン流もしくは乱流拡散としてのモデル化を行った。また、機械排煙を行う際の効果については、二層条件下における煙層温度、厚さに対して、吸引風速の大小に応じて空気混入率を求める設計式を作成した。
項目3)については、事務所ビルを対象として、既存の典型的な建物プランを分析し、空間容積、歩行距離等の建築パラメータを抽出し、これに対して在館者密度、可燃物密度、火災成長率などの変動を考慮して避難失敗確率をモンテカルロ法により求めた。その結果、現存の典型的な事務所ビルでは、安全性指標が1.5程度となることを明らかとし、これが一応の目標安全水準の目安となると考えられる。

Research Products

• [Publications] 水野雅之, 島村誠, 徳永英, 川畑仁生, 西田朋子, 南部晶子, 鎌崎晃, 原田和典, 若松孝旺: "建物火災に対する目標避難安全水準の分析 その1 階避難安全検証法に規定される特性値および予測式に含まれる安全率に関する考察"日本建築学会計画系論文集. 563. 1-8 (2003)
• [Publications] 水野雅之, 島村誠, 徳永英, 川畑仁生, 西田朋子, 南部晶子, 鎌崎晃, 原田和典, 若松孝旺: "建物火災に対する目標避難安全水準の分析 その2 典型的なオフィスビルにおける居室避難安全水準"日本建築学会計画系論文集. 569(採用決定). (2003)
• [Publications] 南部晶子, 山口純一, 松山賢, 大宮喜文, 田中哮義, 原田和典, 他: "開放式駐車場の性能的火災安全設計ケーススタディ"日本建築学会技術報告集. 4月号(採用決定). (2003)
• [Publications] 竹平野枝, 仁井大策, 大宮喜文, 山名俊夫, 原田和典, 他: "階段室内における火災時の煙流動に関する実験的研究"日本建築学会近畿支部研究報告集. 42号環境系. 185-188 (2002)
• [Publications] 仁井大策, 抱憲誓, 竹平野枝, 原田和典: "アスペクト比を考慮した天井付け機械排煙口への空気混入率の定式化"日本建築学会近畿支部研究報告集. 42号環境系. 225-228 (2002)
• [Publications] 抱憲誓, 原田和典, 鉾井修一, 高田暁: "複数可燃物間の燃焼拡大予測モデル"日本建築学会近畿支部研究報告集. 43号環境系(採用決定). (2003)