2002 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ溶射利用の化学気相成長法によるハイブリッドコーティング膜の高速合成
Project/Area Number |
12555196
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大竹 尚登 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (40213756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安岡 学 (株)不二越, クリーンサーモ部, 室長
安原 鋭幸 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70282829)
加藤 和典 湘南工科大学, 工学部, 教授 (80016419)
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Keywords | コーティング / 耐摩耗性 / 化学気相成長 / プラズマ溶射 / DLC / ハイブリッド膜 |
Research Abstract |
DLC膜中にTiパーティクルを添加したTi-DLC膜の合成法として,アーク放電による溶射法とRFプラズマCVD法とを組み合わせた溶射プラズマCVD法を提案し,ホローカソードを用いた溶射装置とRFプラズマCVDを行う合成装置を設計製作した.この装置により実際にTi-DLC膜の合成実験を行い,DLC膜中へのTi添加の影響を検討した.得られた結論を以下に示す. 1.圧力制御により、放電条件の異なるアークグローハイブリッド放電を実現し,DLC膜中にTiパーティクルが分散したTi-DLC膜を合成することができた.Tiパーティクルの粒径は2〜50nmであった. 2.アーク放電のプラズマガスとして用いているAr流量を変化させることにより,膜中のTi濃度を制御することができ,それにより膜の硬さを変化させることができた. 3.Arとともに導入したホローカソードからのCH4と,メインチャンバ側面から導入したC2H2を原料ガスとして合成したTi-DLC膜は,CH4流量を変化させることにより硬さを変化させることができた.またそれにより合成可能なTi-DLC膜の膜厚も変化させることができ,膜厚6μmの厚膜合成が可能であることを明らかにした.そして,実際にTi-DLC膜の内部応力を測定することで,残留応力が1GPa程度と従来のDLC膜の2〜10GPaと比較して小さくなっていることを明らかにした.これは,Ti粒子の存在によるものと考えられる. 4.金属添加DLC膜の合成法として,約12μm/hの高速合成を達成した.以上のように,本溶射プラズマCVD法の合成技術は,厚くかつ残留応力を低減してDLC膜を合成することができることから,工具等の表面コーティングに有用であると思われる.
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[Publications] 大竹 尚登: "炭窒化ホウ素"プラズマ・イオンビーム応用とナノテクノロジー シーエムシー出版. 239-246 (2002)
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[Publications] 百瀬英明, 楊 旭東, 安原鋭幸, 大竹尚登: "RFマグネトロンスパッタ法によるB-C-N薄膜の合成"日本機械学会誌(C編). 68・669. 1562-1568 (2002)
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[Publications] 谷口信人, 安原鋭幸, 大竹尚登: "溶射プラズマCVD法によるTi-DLC系硬質膜の合成"日本機械学会中国四国支部九州支部合同企画松山地方講演会講演論文集. 55-56 (2002)
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[Publications] 谷口信人, 百瀬英明, 安原鋭幸, 大竹尚登: "溶射プラズマCVDによるTi-DLC膜の合成"第16回ダイヤモンドシンポジウム講演要旨集. 72-73 (2002)