2000 Fiscal Year Annual Research Report
非対称圧延を利用した集合組織制御による高成形性アルミニウム合金板材の開発
Project/Area Number |
12555199
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
左海 哲夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80029298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 裕 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80252584)
斎藤 好弘 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20029101)
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Keywords | 非対称圧延 / 異周速圧延 / せん断変形 / せん断集合組織 / アルミニウム合金 / r値 / プレス成形性 / 高成形性アルミニウム合金板 |
Research Abstract |
当初の計画どおり,異速圧延機を購入した.工業用純アルミニウムを用い,室温にて圧下率50%の1パス圧延,および2パス(50%-50%)の異周速圧延を行い,板厚方向せん断ひずみ分布に及ぼす圧延条件の影響を調べた.その結果,摩擦係数が高い方が,また異速比が大きいほうが大きなせん断ひずみが導入されることが明らかとなった.1パス圧延により導入されるせん断ひずみの大きさは板厚方向に変化し,異速比が小さい場合は高速ロール側により大きなせん断ひずみが,異速比が2になると低速ロール側により大きなせん断ひずみが導入された.前方張力の付加は,安定な圧延を行うためには有効であるが,せん断ひずみの大きさには顕著な影響を及ぼさなかった.試料表面にアルミナ粉を塗布し摩擦係数を大きくして,1パスあたり圧下率50%の圧延を2パス(総圧下率75%)行うことにより,板厚全体にわたって4以上のせん断ひずみを導入することに成功したが,この場合もせん断ひずみの大きさは板厚方向に不均一に分布し,最大で15に達した.異周速圧延材には,板厚方向全体にわたって{001}<110>,{112}<110>,{111}<110>を主成分とする集合組織が発達し,その集積度はせん断ひずみとともに上昇した.せん断ひずみが大きい場合には,{001}<110>が発達する傾向があった.2パス圧延によりせん断集合組織の集積度をさらに上昇させることができた.圧延材には,圧縮ひずみが生じているにもかかわらず,通常の圧延集合組織成分はまったく見られなかった.これらのせん断集合組織成分は,再結晶後も保存された.再結晶後の方位成分の集積度は焼鈍条件の影響を受け,徐加熱焼鈍を行うと{001}<110>の集積度は圧延前より上昇した.これらの結果は,再結晶後も変形集合組織成分を残存させるプロセスについての重要な知見を与え,次年度以降の研究に大きく資するものである.
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