2001 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーデトネーション誘起ブロードアトムビームによる低損傷低温極表面改質法の開発
Project/Area Number |
12555200
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大前 伸夫 神戸大学, 工学部, 教授 (60029345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 久美子 神戸大学, 工学部, 教務職員(教育職) (20252794)
田川 雅人 神戸大学, 工学部, 助教授 (10216806)
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Keywords | 原子状酸素 / シリコン / 表面改質 / シリコン酸化膜 / 原子ビーム |
Research Abstract |
本研究は宇宙環境下における各種材料の劣化現象を地上実験装置装置を用いてシミュレートするために開発された高出力赤外線レーザーによる中性原子加速法(レーザーデトネーション法)をスピンオフして、新しい表面改質プロセスの開発を行おうとするものである。本研究グループによってこれまで宇宙空間における宇宙用材料の原子状酸素による劣化を研究するために試作されたレーザーブレークダウン型高速原子状酸素発生装置は、TEA炭酸ガスレーザーを使用しているが、表面改質という目的のためにはさらに高エネルギーの光源が必要である。そこで、平成12年には現有のレーザーを7J/pulseの炭酸ガスレーザーに変更した。平成13年度には、前年度に作製した新システムに四重極質量分析管とマルチチャンネルスケーラーを組み合わせたTime of Flight Mass Spectrometer (TOFMS)を組み込むことにより、ビームの速度、組成、イオン量等を逐次モニタし、並進エネルギー4.6eV、フラックス3x10^<14>atoms/cm^2/sの原子状酸素ビームの発生を確認した。さらに本装置を用いて生成した超熱原子状酸素ビームを用いてシリコン表面の室温酸化を試みた結果、(1)超熱原子状酸素ビームを用いることにより室温でも水素終端Si(001)表面を酸化することが可能であること、(2)酸化膜成長は放物線則に従う拡散律則過程であること、(3)成長初期の拡散は主としてビームの並進エネルギーに、後期の拡散はビームフラックスに依存すること、等を明らかにすることに成功した。これにより、工業的に最も重要なSi/SiO_2系の表面反応において、表面酸化に超熱原子状酸素ビームを用いた場合の酸化速度、最大酸化膜厚さ、酸化メカニズムなどの原子ビーム酸化プロセスの理解に必要な基本的な知見を得ることができた。
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[Publications] Yokota K., Tagawa M., Ohmae N.: "Impingement angle dependence of erosion rate of polyimide in atomic oxygen exposures"Journal of Spacecraft and Rockets. Vol.39,No.1. 155-156 (2002)
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[Publications] Tagawa M., Yokota K., Ohmae N., Kinoshita H: "Effect of ambient air exposure on the atomic oxygen-exposed Kapton films"Journal of Spacecraft and Rockets. Vol.39,No.2(in press). (2002)
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[Publications] Kinoshita H., Tagawa M., Yokota K., Ohmae N: "Nonlinear phenomenon in the mass loss of polyimide films under hyperthermal atomic oxygen beam exposures"High Performance Polymers. Vol.13,No.4. 225-234 (2001)
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[Publications] Tagawa M., Yokota K., Ohmae N., Kinoshita H., Umeno M: "Oxidation properties of hydrogen-terminated Si(001) surfaces following use of a hyperthermal broad atomic oxygen beam at low temperatures"Japanese Journal of Applied Physics. Vol.40,No.10. 6152-6156 (2001)
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[Publications] Gotoh K., Tagawa M., Ohmae N., Kinoshita H., Tagawa M.: "Surface characterization of atomic oxygen-exposed polyimide films using contact angle measurements"Colloid and Polymer Science. Vol.279. 214-220 (2001)
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[Publications] 田川雅人, 横田久美子, 大前伸夫, 木之下博: "超熱原子状酸素ビームによる宇宙環境シミュレーションと固体表面改質への応用"日本真空協会関西支部平成12年度第2回研究例会資料. 21-28 (2000)