2001 Fiscal Year Annual Research Report
アパタイト溶射コーティングによる生体インプラント材料の開発と評価
Project/Area Number |
12555203
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
奥山 優 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (50042528)
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Keywords | 生体インプラント材料 / プラズマ溶射 / 多孔質ヒドロキシアパタイト |
Research Abstract |
著者らは「アパタイト溶射コーテイングによる生体インプラント材料の開発と評価」のテーマで研究を進めているが、前年度では主として、溶射したアパタイト膜の化学組成、構造変化の制御、密着性の向上について検討し、そのためのアパタイト粉末原料の改善を中心に研究を進め、一定の成果を挙げた。本年度はアパタイト粉末の溶射コーテイングをSUS316ステンレス鋼およびチタンの上に行って、3.5wt%NaCl溶液中で分極実験を行い、耐食性試験を実施して溶射膜の保護性の検討を行った。とくにステンレス鋼下地の場合には溶射アパタイト膜が多孔質のため孔食が起るので封孔する必要があった。密着性と溶射膜の封孔の改善のために、Tiの真空蒸着膜(PVD)の併用あるいは拡散熱処理を試み、その結果を検討した。 以上の実験から次のような結論が導かれた。(1)Ti下地に対するアパタイト溶射コーテイング膜は密着性も良好で多孔性であっても孔食は発生しない。(2)ステンレス鋼下地の場合には溶射アパタイト膜が多孔質のため孔食が起った。溶射膜の封孔のため溶射膜の層にTiのPVD膜を生成し、その上からアパタイト溶射を試みた。しかし、改善は見られなかった。これはPVD膜がアパタイト溶射時の熱歪により破壊することが原因であると考えられた。(3)そこでステンレス鋼のアパタイト溶射膜を1000℃アルゴン気流中で熱処理し拡散浸透処理を試みた。溶射アパタイト相とステンレス鋼との間に僅かな拡散層が認められたが、分極試験ではやや電流は低下したものの孔食は完全には防止できなかった。本件については熱処理条件等検討を進めている。
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