2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12555209
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
本保 元次郎 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (30157846)
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Keywords | Cu-Al-Ni / 金属間化合物 / 超弾性 / 計上記憶 / 一方向凝固 / 通続鋳浩法 / 加熱鋳型 |
Research Abstract |
本研究は、加熱鋳型を用いた連続鋳造法OCCプロセスによる一連の新素材開発の一つと位置付け、主に銅合金系を中心とした形状記憶・超弾性一方向凝固材の製造を目的としたものである。 平成14年度の連続鋳造実験では、Cu-Al-Ni合金及びCu-Sn合金の銅合金以外の本法を用いた他合金系形状記憶・超弾性材の製造の可能性についても検討を試みた。水平式OCCプロセス装置を用いた実験では、Ag合金系形状記憶・超弾性線の連続鋳造ついての検討を行った。しかしながら、合金成分の有害性の問題や連続鋳造装置の温度的な限界により、本装置を用いたAg合金系の連続鋳造は困難であると言う結論に至った。一方、上引き式0CCプロセス装置では、Al-Ni合金金属間化合物の連続鋳造の検討を行った。そして、Al-42%Ni合金を溶解試料としAl_3Ni金属間化合物一方向凝固形状記憶材の製造を試みた結果、直径2〜7mm、長さ約50mmの棒材が得られ、その組織はαAl、Al_3Ni及びAl_3Ni_2、の3相組織であることが明らかとなった。この組織は、Al_3Ni_2が晶出後、鋳型直上において残液と包晶反応が起こり包晶相Al_3Niが生成したと考えられる。また、反応時間が十分ではなかったために、初晶Al_3Ni_2が残存し、また未反応の残液が共晶反応によりαAlとAl_3Niになったものと推測される。以上のことより、組織制御されたAl_3Ni金属間化合物形状記憶材の製造の可能性はあるものの、鋳型直上での初晶Al_3Ni_2の寸法形状の制御および温度勾配と鋳造速度等の適正な条件の選定及び制御が必要と考えられる。 また、銅系合金の実験でCu-Al-Ni合金超弾性線の性質について検討した結果は、ほぼ前年度と同様であった。すなわち、組織は一方向に伸びたβ_1相中にγ_2相が点在する組織となり、鋳造速度が速まることによりγ_2相の減少し、やがては殆ど見られなくなった。それにつれて変態温度も低下し、鋳造速度が速い場合にはMs点が-22℃まで低下した。また、室温での2段階のマルテンサイト変態による超弾性を示すOCC線では、引張りによる応力-歪ヒステリシス曲線から、鋳造速度が速まるにしたがって残留ひずみが低下する傾向が見られた。そして、速い鋳造速度では30%の引き延ばした後も残留歪みは0%の高い形状回復性を有し、TiNi合金超弾性線に比較し1/3以下の約140MPaの応力でβ_1からβ_1'への超弾性変形を示した。なお、β_1'からα_1'への変態は約500MPa、一方α_1'からβ_1'への逆変態は約250MPa、さらにβ_1'からβ_1への逆変態は約50MPaの応力で発生することも明らかとなった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 本保元次郎, 金沢憲一, 上原勝, 早田博, アレキサンダーマクリーン: "OCCプロセスによって得られたCu-Al-Ni合金線の形状記憶・超弾性効果"銅と銅合金. 41・1. 261-266 (2002)