2001 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光法によるポリマー中に溶解するCO_2濃度センサーの実用化研究
Project/Area Number |
12555214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶋 正裕 京都大学, 工学研究科, 教授 (60185254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 竜磨 住友化学, 樹脂開発センター, グループ長
車田 研一 京都大学, 工学研究科, 助手 (80273473)
谷垣 昌敬 京都大学, 国際融合創造センター, 教授 (30027148)
渡 正博 横河電機, 環境機器事業部, 課長
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Keywords | 近赤外分光分析 / 超臨界二酸化炭素 / オンラインセンサー / 高分子成形加工 / 物質移動 / 吸収スペクトル / 拡散係数 / 多成分拡散 |
Research Abstract |
高分子成形加工プロセスにおいて、発泡剤や添加剤などの低分子量物質が樹脂の改質や機能の発現に用いられている。従ってそれらの低分子量物質の高分子材料中での物質移動速度を知ることはプロセスの開発、操作条件を決定する上で重要である。本年度の研究では、オンラインで濃度測定が可能である近赤外分光法を応用し、高分子材料中での低分子量物質の拡散係数を測定する装置ならびに方法を確立し、CO_2および多成分ガスの高分子材料中への多成分系の拡散挙動を観察した。 樹脂中に二酸化炭素が拡散していく際のCO_2濃度変化は、2019nmの吸光度に顕著にあらわれていることを見出し、その動的挙動から、CO_2の樹脂への拡散係数を測定した。その結果、高精度の拡散係数測定法として実績のある磁気浮遊天秤と同等な精度で拡散係数が測定できた。例えば、温度175℃でCO_2圧力が2.0MPaのときのCO_2のポリエチレンへの拡散係数は、6.79x10^<-9>m^2/sと測定された。さらに、上述と同じ装置で、CO_2/プロパノール混合ガスの樹脂(低密度ポリエチレン)中への拡散実験を行った。プロパノールの濃度変化に伴うスペクトル変化は1406nm吸光度にあらわれた。CO_2が存在しない場合はプロパノールの吸光度にはほとんど変化が見られなかったものが、CO_2と混合することにより吸光度に大きな変化が見られ、プロパノールがCO_2の拡散による相乗作用により、樹脂内に拡散して行く様子が観測できた。 以上、本年度の研究では、近赤外分光法を応用した高分子材料中への低分子拡散係数の測定法を開発し、CO_2プロパノール混合ガスの高分子材料中への拡散挙動の観察に成功した。
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