2000 Fiscal Year Annual Research Report
界面活性剤による抵抗低減技術を利用した冷暖房システムにおける熱交換器の最適設計
Project/Area Number |
12555216
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
薄井 洋基 神戸大学, 工学部, 教授 (20107725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 均 ライオン株式会社, 研究開発本部, 主任研究員
鈴木 洋 神戸大学, 自然科学研究科, 助教授 (90206524)
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Keywords | 省エネルギー / 界面活性剤 / 抵抗低減技術 / 空調 / 伝熱 / 流体輸送 |
Research Abstract |
界面活性剤の分子構造を制御することにより、ミセル形状を変化させることが可能である。しかしながら、乱流制御によりポンプ所要動力の削減が可能であることは、運動量輸送と熱輸送のアナロジーから、冷媒に冷熱を与える際の熱交換器において大幅な伝熱係数の低下を引き起こすことを意味している。この現象は熱交換器の伝熱面積の増大を引き起こし、界面活性剤を用いた省エネルギー型空調システムの設計における大きい障害となることが指摘されていた。そこで、本研究では熱交換器の伝熱管入り口部に適当なミセル構造破壊装置を設置し、伝熱区間のみで乱流摩擦係数および伝熱係数の低下を回避する手法を開発しようとするものである。実験室規模の熱交換器伝熱管入り口部に超音波破砕器を設置し、伝熱管入り口部でのミセル破壊が可能であり、十分下流域までミセル破壊の影響が持続することを実証した。ところが、これらの実験中に超音波を発振しなくても超音波破砕器アダプター部の流路の絞り効果のみでミセルの破壊が十分可能であることを見出した。そのため、各種形状のミセル破壊装置を考案した。その中でも簡単な形状で実際の熱交換器に適用可能なものとして、急縮小・急拡大部を有するミセルスクィーザーを提案し、その設計指針を与えた。粘弾性流体の急拡大・急縮小部における流れの理論的予測は困難な状況なので、本研究ではニュートン流体に対する急拡大・急縮小流れの予測結果が適用できると考え、この流れ系におけるニュートン流体のエネルギー損失を評価関数として設計基準とした。現実の流れはミセル高次構造が破壊されつつある状況なので、純粋な粘弾性流体の解析ともニュートン流体の解析結果とも異なる流れになっていると予想される。上記の単純化した設計指針で与えたミセルスクィーザーは、多少のミセル破壊に要する余分のエネルギーを必要とするものの、実存の冷暖房システムの熱交換器にミセルスクィーザーを装着することにより、十分な熱交換を行わせることが可能となった。これにより、消費動力の低減効果を有効に利用する省エネルギー型冷房装置の実現性を更に検討中である。
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[Publications] H.Usui: "Optimization of Molecular Structure of Cationic Surfactants to Prevent the Heat Transfer Reduction"Proc.XIIIth Int.Congress on Rheology, Cambridge, UK. Vol.2. 294-296 (2000)
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[Publications] A.Kishimoto: "Heat Transfer Augmentation in a Surfactant Solution Flow with an Insertion of a Micelle Squeezer"Proc.of 4^<th> JSME-KSME Thermal Engineering Conference, Kobe. Vol.3. 499-502 (2000)
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[Publications] H.Suzuki: "Numerical Study on a Drag-Reducing Flow with Surfactant Additives"To be presented at 3^<rd> Pacific Rim Conference on Rheology, Vancouver, Canada, July(2001). (2001)
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[Publications] H.Usui: "Heat Transfer Augmentation by Micelle Squeezer in a Surfactant Drag-reducing Pipe Flow"To be presented at 6^<th> World Congress of Chem.Eng., Melbourne, Australia, September(2001).
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[Publications] 中江利昭 監修: "レオロジー工学とその応用技術(第4章第1節及び第8章第7節を分担執筆)"(株)フジテクノシステム,発行者 小野介嗣. 891 (2001)