2000 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱物質の吸着濃縮型光分解触媒システムの開発
Project/Area Number |
12555223
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 忠 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50023172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上甲 勲 栗田工業株式会社, 開発本部, 研究主幹
吉田 寿雄 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (80273267)
薩摩 篤 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (00215758)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / 環境ホルモン / フタル酸エステル / チタニア架橋粘土 / 光触媒 / シリカ担持チタニア触媒 / 水熱処理 / 吸着 |
Research Abstract |
環境ホルモンは環境中に放出された化学物質のうち生体内に入るとあたかもホルモンのように作用するため様々な影響が危惧されている物質で、その実体究明、対策法などの確立が急務となっている。本研究は水中にごく低濃度で存在する環境ホルモンを吸着濃縮し、高い酸化力を発揮する光触媒系をもちいて分解・無害化するための基礎的な知見を得ると共に、高効率光触媒の設計指針を明らかにすることを目的としている。はじめにフタル酸ブチルを対象として取り上げ、光触媒による環境ホルモンの濃縮分解システムの評価法の確立を行った。吸着過程と光触媒分解を別々に検討するために暗中で一定時間攪拌した後に光を照射し、その間の環境ホルモン物質の濃度をガスクロマトグラフィーにより観察することとした。この際、キセノンランプの光量が大きく分解速度が著しく速いため光束を制限したり、熱線を水フィルターで取り除くなどの改良を行い一定の評価が可能になった。 次に濃縮および光触媒分解の効率化を目的としてチタニア架橋粘土系の合成及び触媒構造の評価を行った。架橋粘土触媒の合成は成功し詳細な構造も決定された。また、水熱処理法により、架橋粘土の構造と吸着性能を損なわずに本触媒中のチタニア粒子の結晶性を向上させることに成功し、フタル酸ブチルの光触媒分解速度を向上させることができた。一方、様々な濃度でシリカ担体上にチタニアを担持した触媒を調製し、触媒構造と吸着性能・光触媒活性の検討を行った結果、チタニア表面そのものもシリカに比べると疎水性で良い吸着場となること、光触媒活性はチタニア表面積とチタニア微結晶のバンドギャップにより整理できることなどがわかった。また、本システムは太陽光でも十分に稼働することが明らかとなり、夜間に吸着・昼間に光分解が可能であることが示唆された。
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