2000 Fiscal Year Annual Research Report
浮遊性海洋シアノバクテリアのバイオエコモニタリングへの応用
Project/Area Number |
12555226
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
竹山 春子 東京農工大学, 工学部, 助教授 (60262234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 博幸 太平洋セメント, 研究本部・佐倉研究所, 研究職
和気 仁志 ぺんてる株式会社, 中央研究所・第6研究室, 室長(研究職)
宮下 英明 東京農工大学, 工学部, 助手 (50323746)
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Keywords | 浮遊性海洋シアノバクテリア / スクロース密度勾配遠心法 / トリブチルスズ / モニタリング |
Research Abstract |
本研究では、シアノバクテリアの持つ浮遊性の特徴に着目し、浮遊性海洋シアノバクテリアを利用した、海洋の表層におけるバイオモニタリングを行うことを目的とし、初年度は当研究室にある海洋微細藻類のカルチャーコレクションの中から浮遊性海洋シアノバクテリアの獲得を試みた。 浮遊性シアノバクテリアは、低密度の細胞内器官であるガス胞を利用し、細胞密度を変化させることで浮遊性を獲得している。このため浮遊性シアノバクテリアは他のシアノバクテリアの細胞密度に比べ、細胞密度が低いと考えられた。そこで、この密度の差を利用して、スクロース密度勾配遠心法による浮遊性シアノバクテリアを獲得法を試みた。密度の軽い海洋シアノバクテリアを保存株から探索した結果、Nostoc sp.NKBG500017株が最も軽いスクロース密度層に分画された。さらに、本株の浮遊性を確認したところ、同じNostoc sp.NKBG500043株は、12時間インキュベーション後にはすべて沈降してしまうのに対し、Nostoc sp.NKBG500017株はまだ懸濁状態であった。このことから、スクロース密度勾配遠心法を利用することにより、容易に浮遊性のシアノバクテリアが獲得できることが示された。さらに、本株を海洋のバイオモニタリングの指標生物としての評価を行った。汚染物質として環境ホルモン様物質であるトリブチルスズを用いて、シアノバクテリアの蛍光量の変化から評価した。その結果、トリブチルスズ10nM以上の濃度で蛍光量の減少が確認された。しかし、1nMの濃度で環境中で影響を与えるはことがすでに報告されており、汚染物質に対する高い感度をもつ浮遊性のシアノバクテリアの選択、高感度な検出法などさらなる高感度化が必要であることが示された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Mitsufumi Matsumoto: "Floating cultivation of marine cyanobacteria using coal fly ash."Appl.Biochem.Biotechnol.. 84/86. 51-57 (2000)
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[Publications] Mitsufumi Matsumoto: "Screening of marine cyanobacterial buoyancy for application of environmental monitoring."J.Appl.Phycol.. (in press).
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[Publications] 松永是: "CO_2固定化・隔離の最新技術"シーエムシー. 12 (2000)