2000 Fiscal Year Annual Research Report
酸化チタン光触媒を添加した高強度超撥水膜の作製と防汚機構
Project/Area Number |
12555241
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 和仁 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00172859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 章 東京大学, 先端科学技術研究センター, 寄付講座教員 (00302795)
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Keywords | 超撥水 / ゾルゲル / 分相 / コロイダルシリカ / 接触角 |
Research Abstract |
【緒言】近年、低エネルギー表面に適当な凹凸を付与することにより水との接触角が150°以上になる超撥水膜が開発され、着雪雨滴防止、防錆、離型性、など様々な効果が期待されている。しかしながら従来の膜は単一モードの粗さで超撥水状態を指向していたため硬度が低く、実用化の障害になっている。本研究ではこの点を踏まえ、大きさの異なる2つの粗さを組み合わせることにより可視光透過性に優れた超撥性シリカ薄膜を作製することを検討したので報告する。 【実験方法】TEOSをエタノールに溶解し、酸触媒下で加水分解した。この溶液を希釈して所定量のアクリルポリマーを添加し混合後、シリカゾルを添加し、得られた溶液をパイレックスガラス上にスピンコートした。乾燥後更に液をコートするプロセスを5回繰り返した後、500℃で30分間焼成した。得られた膜はフルオロアルキルシランを250℃で熱蒸着して撥水処理を行った。このプロセスで、アクリルポリマーを添加しないもの、コロイダルシリカを添加しないものをそれぞれ作製し、これらが撥水性に及ぼす効果と、組み合わせた効果を個別に微構造、接触角、転落角、硬度、透過率から評価した。 【結果】アクリルの添加により膜はクレーター状の構造となり、2%添加した膜では0.1?0.6ミクロンの大きさのクレーター状構造となった。この大きさはアクリルの添加量に依存し、アクリルの添加により分相が誘起されていることが示唆された。一方コロイダルシリカでは数十nmの微細な凹凸が形成された。アクリルのみ、またはコロイダルシリカのみの添加では接触角は130°付近までしか上がらなかったが、両者を同時に添加したところ接触角は151°となった。粗さの測定から分相による粗さとコロイダルシリカの粗さが組み合わされていることが判った。組成条件を適正化することにより、可視光透過率90%の超撥水膜を作製することが出来、その膜の硬さはナノインデンテーションにより2GPaと軟らかめのガラス程度であることが確認された。大きさの異なる2つの粗さの組み合わせは高硬度超撥水膜の実用化を図る上で効果的な手法であることが確認された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Nakajima,K.Abe,K.Hashimoto,T.Watanabe: ""Preparation of Hard Super-Hydrophobic Films with Visible Light Transmission""Thin Solid Films. 376. 140-143 (2000)
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[Publications] A.Nakajima,K.Takai,K.Hashimoto,T.Watanabe: ""Transparent Superhydrophobic Thin Films with Self-Cleaning Properties""Langmuir. 16(17). 7044-7047 (2000)
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[Publications] A.Nakajima,S.Koizumi,T.Watanabe,K.Hashimoto: ""Photoinduced Amphiphilic Surface on Polycrystalline Anatase TiO_2 Thin Films""Langmuir. 16(17). 7048-7050 (2000)
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[Publications] A.Nakajima,K.Hashimoto,T.Watanabe: ""Recent Studies on Super-Hydrophobic Films""Monatshiefte fur Chemie. 132. 31-41 (2001)