2001 Fiscal Year Annual Research Report
多スピン共役高分子でみられる巨大な磁気モーメントと新しい電磁物質としての展開
Project/Area Number |
12555268
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西出 宏之 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90120930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 誠 日本学術振興会, 研究員
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Keywords | π共役高分子 / 高スピンポリマー / 磁性材料 / 磁気力顕微鏡 / 強磁性相互作用 / ポリフェニレンビニレン / 磁気ドット |
Research Abstract |
発達したπ共役系を主鎖骨格とし、その非ケクレ位側鎖に安定ラジカルを共役して結合させた純有機の「多スピン共役高分子」を対象に、その巨大な分子磁気モーメントによって誘起されるナノメートルスケールでの磁気応答を、分子磁気ドット像としてはじめて定量的に観測することを第1目的とした。分子レベルで働く磁気相互作用を、高分子内でのスピン密度と多重度をパラメータとして描像し、ナノサイズで磁気応答するはじめての有機材料として特徴づけた。本年度は主に次の3項目の成果を得た。 (1)星型拡張多スピン高分子を基盤上に分子分散させ、磁気力顕微鏡(MFM)で観測、スピン発生率(分子内のスピン濃度)の増減に対応した磁気応答の多値表現を定量的に実証した。また基盤表面と多スピン高分子間の相互作用による、MFM像の鮮明度の差違も観測した。 (2)星型多スピン高分子を合成するための反応経路を開拓し、収率よく供給する手順を確立した。ポリフェニレンビニレンを梯子状に拡張するため、テトラベンゾシクロオクタデセンの非ケクレ位である4箇所にラジカル前駆部を導入したサブパートの合成方法も検討した。 (3)MFM磁気応答する有機物質の適用範囲を拡張するため室温長寿命ラジカルニトロキシドをもつポリメタクリレートのナノ粒子、また参照として希土ガドリニウムイオンを保持したポリメタクリル酸のナノ粒子を作製し、多スピン共役高分子での磁気応答の特性を明らかにした。 以上より、純有機物質による高密度かつ多値表現可能な磁気記録材料の実現に向けて道筋をまとめた。
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[Publications] Nishide et al.: "A Nanometer-Sized High-Spin Polyradical : Poly(4-phenoxyl-1, 2-phenylenevinylene) Planarily Extended in a Non-Kekule Fashion and its Magnetic Force Microscopic Images"J. Am. Chem. Soc.. 123. 5942-5946 (2001)
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[Publications] Nishide et al.: "Synthesis Magnetic, Optoelectronic Properties of Poly(triphenylamine-alt-phenylenevinylene)s"J. Polym. Soc. Part A. Polym. Chem.. 38. 4119-4127 (2000)
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[Publications] Nishide et al.: "A Novel Triphenylamine-Substituted Poly(p-phenylenevinylene) : Improved Photo-and Electroluminescent Properties"Chem. Mater. 13. 3817-3819 (2001)
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[Publications] Nishide et al.: "Electroluminescence of Poly(phenylenevinylne)s Containing Triphenylamine Derivatives in the Main Chains"Jpn. J. Appl. Phys.. 41. 362-365 (2002)
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[Publications] Nishide et al.: "Poly(1, 2-phenylenevinylene) Ferromagnetically 3, 5-Bearing Phenoxyl Radicals"Macromolecules. 35. 690-698 (2002)