2000 Fiscal Year Annual Research Report
高性能エタノール選択透過膜の創製と膜透過装置の開発に関する研究
Project/Area Number |
12555269
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
浦上 忠 関西大学, 工学部, 教授 (80067701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 伸司 リグナイト(株), EVセパレーション開発部, 係長(研究職)
田中 喜昭 リグナイト(株), EVセパレーション開発部, 部長(研究職)
宮田 隆志 関西大学, 工学部, 助教授 (50239414)
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Keywords | ジメチルシロキサンマクロモノマー / メチルメタクリレート / グラフト共重合体膜 / 多孔質膜 / 凍結乾燥法 / 水選択透過性 / エタノール選択透過性 / 膜構造 |
Research Abstract |
気化浸透法および温度差制御気化浸透法に用いるエタノール水溶液からエタノールを選択的に透過する高分子膜材料として,ジメチルシロキサンマクロモノマー(DMS)とメチルメタクリレート(MMA)とからのグラフト共重合体(PMMA-g-PDMS)を合成した。MMAとDMSとの仕込みモノマー組成を変え,種々のPMMA-g-PDMSを得,DSC分析をした結果,いずれのグラフト共重合体にも2つのガラス転移温度(Tg)が観察され,1つはPMMAに,もう一方はPDMSに基づくTgであり,グラフト共重合体はミクロ相分離構造を有していることが推察された。これらの共重合体から調製したPMMA-g-PDMS膜のエタノール水溶液の透過分離特性は,共重合体中のDMS含有率に著しく依存し,DMS含有率の少ない膜では水選択透過性を示し,DMS含有率の高い膜ではエタノール選択透過性を示した。これらの選択透過性の違いは,膜のミクロ相分離構造のモルホロジーに依存していることが透過型電子顕微鏡の観察から明らかにされ,DSC分析の結果と一致することが明らかとなった。 一方,高い透過速度を有するエタノール選択透過膜の調製を目的として,ポリジメチルシロキサンのエマルションから多孔質膜の調製を凍結乾燥法によって試みた。生成した多孔質PDMS膜の構造を走査型電子顕微鏡で観察したところ,小室を含む連続多孔質構造を有していた。この多孔質膜を用い,温度差制御気化浸透法でエタノール水溶液の透過分離特性を検討した結果,高い透過速度を有するエタノール選択透過膜であることが明らかとなり,多孔質の構造と透過条件の検討を行えば,さらに高いエタノール選択透過性能を有する膜の調製の可能性があることが暗示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Miyata,T.Uragami: "Relationship between fractal microphase separation and permselectivity of block copolymer membranes containing poly (dimethylsiloxane)"J.Polym.Sai.: Part B : Polym.Phys.. 38. 584-589 (2000)
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[Publications] 浦上忠,宮田隆志: "抗原-抗体結合を利用する可逆性ヒドロゲルインテリジェント材料などの機能性高分子としての応用の可能性"化学と生物. 38・7. 427-429 (2000)
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[Publications] 宮田隆志,浦上忠: "多成分系高分子における相分離構造の新しい評価方法"日本接着学会誌. 36・7. 279-286 (2000)
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[Publications] 浦上忠: "水中の環境ホルモンを選択的に除去する高分子膜"工業材料. 48・10. 94-102 (2000)
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[Publications] 浦上忠: "内分泌攪乱物質を選択的に透過する高分子膜の開発"機能材料. 20・10. 58-65 (2000)
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[Publications] 浦上忠,宮田隆志: "新規な抗原応答性高分子ヒドロゲルの調製とその物質透過制御機能"高分子加工. 49・12. 530-536 (2000)