2001 Fiscal Year Annual Research Report
翼列クロッキングを利用した次世代超音速輸送機エンジンのファン騒音低減
Project/Area Number |
12555272
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶 昭次郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80013704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 紀徳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (10201211)
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Keywords | 翼列クロッキング / 動静翼列干渉騒音 / ファン騒音 / 軸流圧縮機 / 騒音低減法 / 超音速輸送機 |
Research Abstract |
航空機エンジンの騒音が社会問題となって久しいが、近い将来にはコンコルドに替わる次世代超音速輸送機が導入されようとしており、その最大の問題の一つが空港騒音である。本研究は超音速輸送機用エンジンのファンが2段であることに着目し、翼列クロッキングの概念をファン騒音に適用して、その発生を抑止するものである。翼列クロッキングとは、多段の軸流機械において静翼同士あるいは動翼同士の翼枚数を揃え、前段翼と後段翼の円周方向配置の位相を調節することにより、総計の全圧損失を極小化する概念である。本研究では、まず2段ファンの動翼同士及び静翼同士の翼枚数をそれぞれ揃え、第1段ファンの動静翼干渉により発生する音波と第2段ファンの動静翼の干渉により発生する音波の周波数及び円周方向モードを一致させる。次に、第2段ファンの動翼及び静翼の周方向配置を第1段ファンの動翼及び静翼に相対的に移動させ、結果として第1段ファンで発生する音波を第2段ファンで発生する音波で相殺させることにより騒音低減を図る。 本研究では翼を周方向に動かせるような多段の軸流ファンを用い音響計測を行うことによって、この手法の有効性を実証する。 本年度は、昨年度改修した多段軸流圧縮機を用い、翼列クロッキングによる全圧損失変化と騒音発生変化の間の相関関係について調査した。 具体的には、入口案内翼を円柱棒に置換えて後流を強くした上で、第1段静翼の移動による翼列クロッキング効果を計測した。第1段静翼をずらせていくとき、翼列1ピッチ平均の全圧損失係数は明瞭な正弦波状に変化し、最大と最小で0.4%の違いを生じた。また、円柱の後流が静翼後流の中間に来ると全圧損失が大きくなり、円柱後流が静翼後流と重なる場合に全圧損失が小さくなることが明らかとなった。さらに、全圧損失の大小と発生騒音レベルの関係について調査を進めている。
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