2000 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成と生理過程を考慮した水稲の3次元生育シミュレーターの開発
Project/Area Number |
12556004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 利拡 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10228455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 渉 富士県農業技術センター, 農業試験場, 主任研究員
渡邉 朋成 農林水産省, 農業研究センター・研究情報部, 主任研究官
中川 博視 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90207738)
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Keywords | 仮想イネ / 形態情報 / モデル / 葉齢 / 分げつ出現歩合 / 葉身形態 |
Research Abstract |
本研究は,これまでの水稲生育モデルと3次元形態情報を有機的に関連付けることによって,実用的で多分野へ応用可能な生育シミュレータを開発しようとするものである.開発を試みるモデルは,イネの基本構造に関するモジュールと生理機能に関するモジュールから構成される.このうち本年度は,基本構造モジュールを開発するための基礎情報を収集した. イネの基本構造は,主として出葉速度,分げつ芽数の決定,分げつの生長,葉身の形態によって決定される.まず,構造決定の基礎になる主稈総葉数の変化を,中川の発育・葉数決定モデルにより表し,形態記述プログラムに導入した.次に,分げつ増加を主稈葉数によって規定される分げつ芽数と分げつ出現歩合の積で表し,分げつ出現歩合が発育ステージによってどのように変化するかを富山における約20年間の作況試験のデータから解析したところ,分げつ出現歩合は移植から分げつ盛期(発育指数=0.7)頃までほぼ直線的に増加し,以降幼穂形成期にかけて急激に減少することがわかった.また,札幌において冷水掛け流し試験を行い,水温が分げつ増加に及ぼす影響を検討したところ,低水温は主として葉齢増加の抑制を通じて分げつ芽数に影響するものの,分げつ出現歩合に対する水温の影響は小さいことが示唆された.ポット試験で得られた葉身の形態情報を解析したところ,葉身長は葉位の正規分布関数として簡便に示されること,分げつ茎の最大葉身長は主茎における分げつ出現位の関数により表されることがわかった.葉身長と葉身幅のアロメトリックな関係を調査したところ,主茎葉,分げつ茎葉,止葉ごとに異なるパラメータが必要であることがわかった.今後,さらに葉身や分げつ茎の3次元位置情報を収集するとともに,群落内の光環境および光合成のアルゴリズムを導入する予定である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 渡邉朋成: "植物生成規則とCG技術による仮想稲の作成"Science and Technonews Tsukuba. 55. 23-24 (2000)
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[Publications] 渡邉朋成: "Virtual rice : a new tool for rice research"Abstracts of the 23rd International Rice Research Conference. 129 (2000)
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[Publications] 渡邉朋成: "仮想稲:III. 稲個体内の葉のサイズ変異。"日本作物学会紀事. 69(別2). 102-103 (2000)
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[Publications] 藤村恵人: "栄養生長期のイネの生長の水温反応に関する品種間差異の解析"日本育種学会・日本作物学会北海道談話会会報. 41. 25-26 (2000)
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[Publications] 渡邉朋成: "仮想稲と葉身傾斜のシミュレーション"日本作物学会. 70(別1)(印刷中). (2001)