2001 Fiscal Year Annual Research Report
雑草の種子休眠機構の解明と休眠覚醒物質の生態的雑草防除への応用
Project/Area Number |
12556007
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山末 祐二 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60093332)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 達 京都府立大学, 農学部, 教授 (10135551)
|
Keywords | 種子休眠 / タイヌビエ / ヒエ属雑草 / Echinochloa oryzicola / 石灰窒素 / 休眠覚醒物質 / 生態的雑草防除 |
Research Abstract |
本研究は、我が国水田の最も代表的な雑草種であるヒエ属雑草の種子休眠性機構を解析するとともに、圃場で利用できる石灰窒素などの休眠覚醒物質を水田の雑草防除に応用することを目的とする。研究2年目となる平成13年度には、前年同様に、(1)ヒエ属種子の休眠機帯解明ための実験と(2)休眠覚醒物質の圃場試験を進めた。 1.ヒエ属種子の休眠機構の解明 タイヌビエの雑草型と栽培型の種子成熟過程の休眠性導入期と脱粒後埋土期における活性酸素に対する種子内生坑酸化活性の変化をルミノールの化学発光法で調べた。栽培型タイヌビエの種子(小穂)は開花32日目の発芽試騨でほぼ100%の発芽率を示したが、雑草型の種子は成熟中、脱粒後も全く発芽せず、脱粒前のかなり早い成熟過程ですでに休眠に導入された。抗酸化活性は、雑草型、栽培型とも開花後徐々に減少し、雑草型の種子が脱粒し始める開花32日目に定常状態になり両型の差異は認められなかった。完熟した種子を秋期の水田土壌に埋土したとき、休眠性をもたない栽培型タイヌビエの種子は、抗酸化活性を急減させ、多くは土壌中で発芽し、他は種子のまま死滅した。一方、雑草型の種子は、大きい抗酸化活性を維持し、休眠状態を続けて冬期に環境休眠状態となった。 2.休眠覚醒物質の圃場試験 石灰窒素(CaCN_2)肥料は、ヒエ属雑草の種子休眠覚醒物質であり、水田のイネ刈り取り後と春期の植え代前の施肥は埋土種子を休眠覚醒させ、発芽、発生した幼植物を冬期の低温や植え代作業によって枯死させることができると考えられる。この観点から、水田に試験区を設け、2000年秋期から石灰窒素の秋期、春期処理を繰り返しヒエ属雑草発生数と埋土種子集団の動態を測定している。本年度(2年目)の春期処理においても、石灰窒素処理区では有意にタイヌビエの出芽数が増加し、埋土種子の休眠覚醒率も増加した。また、稲刈り後の秋期処理区でもタイヌビエの出芽数・休眠覚醒種子および死滅種子数が他区よりも多くなった。圃場試験を開始した2000年秋期のタイヌビエ埋土種子集団のサイズは2.7x10^4粒/m^2であったが、2001年秋期石灰窒素600kg/ha区で8.9x10^3粒に減少した。
|