2001 Fiscal Year Annual Research Report
レジオネラ属細菌が生産する自己増殖阻害物質の単離・同定と抗レジオネラ剤への応用
Project/Area Number |
12556016
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
作田 庄平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80192087)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 源 アクアス株式会社, つくば総合研究所, (研究職)所長
|
Keywords | レジオネラ属細菌 / 自己増殖阻害物質 / 硫黄 / レジオネラ症 |
Research Abstract |
レジオネラ属細菌の感染により発症するレジオネラ症は、肺炎と類似の症状を引き起こす疾患であり、適切な治療が行われない場合の致命率が15〜20%に至る。レジオネラ症の発生は、建造物の冷却塔冷却水、空調設備等、あるいは、人体と直接接触する循環式浴用水・プール水等の、閉鎖系環境中でのレジオネラ属細菌の汚染が原因となる。特定の建築物中での集団発症が起こることが特徴であり、その発生は現在も度々社会問題となっており、レジオネラ症の防止は人類の安全な生活を守る上で重要な課題の一つとなっている。 レジオネラ属細菌の培養液中には自身の増殖を阻害する物質が存在すること知られており、その自己増殖阻害物質は内因性活性物質であるためレジオネラ属細菌に対して選択的な抗菌活性を示す。本研究では、レジオネラ属細菌の生産する自己増殖阻害物質を単離し、構造解析を行った後、得られた活性物質を、レジオネラ症防止に有効な抗レジオネラ剤のリード化合物として応用することを目的とする。 本年度は、昨年度Legionella pneumophilaが生産するの自己増殖阻害物質として単離した単体硫黄の生物活性を調べた。その結果、硫黄は0.3μg/ml程度の低濃度でレジオネラ属細菌種全般に渡って強い殺細菌活性を示すことが判明した。硫黄は大腸菌等の他の細菌に対しても殺細菌活性を示したが、調べた限りレジオネラ属細菌が硫黄に対して最も感受性が高かった。従って、硫黄はレジオネラ属細菌に選択性を持つ薬剤として有望であることが示された。現在、硫黄の循環式浴槽への実用化試験を種々検討している。 また、L.. penumophilaは硫黄以外に成育阻害物質を生産していることが分かり、100リットルの大量培養を行い活性物質の単離を試みた。シリカゲル、LH-20、HPLCを用いた精製により活性物質が複数存在することが判明し、現在それらの構造解析を行っている。
|