2000 Fiscal Year Annual Research Report
iNOSとCOX-2のde novo合成抑制物質による大腸発がんの予防
Project/Area Number |
12556018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大東 肇 京都大学, 農学研究科, 教授 (80026583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 明 近畿大学, 生物理工学部, 助手 (10271412)
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Keywords | 抗炎症 / 発がん予防 / iNOS / COX-2 / 食品機能 / 食品因子 / サイトカイン / スクリーニング |
Research Abstract |
大腸炎や大腸がんなどの疾病は、その進展度に相関してinducible nitric oxide synthase(iNOS)やcyclooxygenase-2(COX-2)が発現する。両者は発がんマーカーとして有用なだけでなく、その蛋白合成の抑制や活性の制御は有効な予防・治療法として注目されている。本研究ではまず、食品を対象としてiNOS/COX-2誘導抑制活性スクリーニングを実施し、同時にすでに見出した食品由来の発がん抑制物質を用いて動物におけるマーカー発現に対する抑制効果を検討した。和産野菜類80種を対象に、RAW264.7細胞におけるiNOS/COX-2タンパク質誘導抑制作用をウエスタンブロットで解析し、有望な食素材の絞り込みを行った。さらに、5%デキストラン硫酸塩(DSS)をマウスの飲料水に混ぜ、1週間飼育することで潰瘍性大腸炎を誘発する試験系を確立した。この評価系では、炎症に関するパラメーターとして、大腸長、iNOS、COX-2、IL-1α、IL-1βなどが測定可能であり、DSS投与群ではこれらのパラメーターは顕著な変動を示す。また、これまでに有効な発がん抑制物質として報告しているnobiletin(カンキツ類)とzerumbone(ニガショウガ)についてのラット大腸発がんマーカーaberrant crypt foci生成抑制活性を確認した。さらに試験終了時に大腸粘膜を回収し、PG量やCOX-2の蛋白発現を解析したところ、上記化合物投与群では有意な低下を認めた。以上から、野菜に含まれる抗発がん物質の探索や、活性成分のin vivoにおける機能評価・メカニズム解析への道が拓けたものと考えている。
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[Publications] H.Kohno ら: "Dietary administration of citrus nobiletin inhibits azoxymethane-induced colonicaberrant crypt foci in rats"Life Science. (印刷中).
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[Publications] T.Tanaka ら: "Chemoprevention of azoxymethane-induced rat aberrant crypt foci by dietary zerumbone isolated from Zingiber zerumbet"Life Science. (印刷中).