2001 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌を用いる毒性芳香族化合物の分解とそのバイオレメディエーションへの応用
Project/Area Number |
12556027
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 隆司 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (80201200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 信明 (財)九州環境管理協会, 分析科学部長(研究職)
近藤 隆一郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80091370)
桑原 正章 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (40035978)
都宮 孝彦 日本化学機械製造(株), 技術開発研究室・次長(研究職)
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Keywords | バイオレメディエーション / 白色腐朽菌 / マンガンペルオキシダーゼ / 担子菌 / ダイオキシン / 塩素化フェノール / ビスフェノールA / 汚染土壌 |
Research Abstract |
本年度では、白色腐朽菌MZ-340株を用いてダイオキシン汚染土壌の浄化を試みた。まず、土壌からダイオキシン類を抽出し、その土壌抽出液をビーズに添加し、菌処理したところ減少が認められた。さらに土壌抽出液をシリカゲルで処理したところ、減少率は約80%と大きく上昇した。また、土壌の塩酸処理により、処理後の強熱減量、即ち有機成分の減少が見られるとともに、前処理することにより、白色腐朽菌によるダイオキシンの分解が認められた。土壌は一般に種々の粘土鉱物や長石等の造岩鉱物、さらに腐植と呼ばれる有機物から構成され、通常これらが凝集した塊として存在している。塩酸処理による土壌成分の変化により、白色腐朽菌がダイオキシン分解に効果的に作用しているものと予想した。 また、平成12年度に作成した試験体(プラスチック製ケース)を室内で360日間静置した結果、ダイオキシン類実測濃度で35.1%減少、TEQ濃度で33.7%の減少を確認した。即ち、化学的な処理を全く必要とせず、ただ単に白色腐朽菌を混合することで、土壌中のダイオキシン類を分解処理できる可能性が示され、広範囲の汚染土壌の分解浄化処理技術としての可能性が示唆された。 一方、各種の担子菌による液体静置培養条件での4-クロロレゾルシノール(4-CR)の分解を試み、Pleurotus ostreatus、P.Pulmonaris、C.consors、C.hirsutus、P.sajor-caju、Daedaleopsis tricolor、Ganoderma lucidumなどに高い分解活性を認めた。さらに、同菌をグルコース-ペプトン培地で培養し、その培養液から部分精製したマンガンペルオキシダーゼによる2,4-ジクロロフェノールの分解試み、24時間の反応により基質の分解とキノンの生成を認めた。また、塩素イオンの発生は分解された基質の約50%であった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Watanabe et al.: "Production and chemilluminescent free radical reactions of glyoxal in lipid peroxidation of linoleic acid by the ligninolytic enzyme,manganese peroxidase"Eur.J.Biochem.. 268. 6114-6122 (2001)
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[Publications] 桑原正章: "バイオテクノロジー"海青社. 198 (2002)
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[Publications] 近藤隆一郎: "バイオレメディエーション実用化への手引き"リアライズ社. 550 (2001)
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[Publications] 近藤隆一郎: "キノコを科学する"地人書館. 180 (2001)