2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12556035
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
児玉 正昭 北里大学, 水産学部, 教授 (40050588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品川 邦汎 岩手大学, 農学部, 教授 (60133906)
酒井 隆一 北里大学, 水産学部, 助教授 (20265721)
佐藤 繁 北里大学, 水産学部, 助教授 (20170748)
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Keywords | 麻ひ性貝毒 / ELISA / 麻ひ性貝毒-チオール複合体 / エタンジチオール / 抗体 / 簡易測定法 |
Research Abstract |
本研究は、麻ひ性貝毒の11位にO-sulfateを持つ誘導体がチオール化合物と反応し複合体を作るという筆者らの発見を基に、麻ひ性貝毒-チオール複合体を利用してタンパクなど高分子物質を麻ひ性貝毒と結合させたハプテン抗原を作製し、麻ひ性貝毒に対する抗体を開発し、麻ひ性貝毒の簡易測定法を開発することを目的として行ったものである。まず用いるチオール化合物を種々検討し、エタンジチオールを用いる方法が最も効率的に麻ひ性貝毒とタンパクの複合体を作成できることが明らかになった。次に最も高い抗体価が得られるタンパクを検討し、牛血アルブミン(BSA)を用いた場合が最も優れた抗体が得られることが明らかになった。本抗体を基に作成したELISAは高い感度で麻ひ性貝毒を検出することが可能で、精製した毒標品を用いた場合はHPLCなど化学分析による測定値とほぼ同じ精度で毒の分析ができることが明らかになった。本年度我々は岩手県大船渡湾において定期的に採取したネットサンプルのPSP含量を、試作したELISAキットを用いて調べ、原因藻であるAlexandrium属の発生量の推移と比較検討したところ、両者が極めてよく一致する結果が得られた。現在麻ひ性貝毒による漁業被害を食い止めるため、各県の水産試験場などに所属する研究員が定期的に海域ごとの原因藻の発生量を顕微鏡下で観察し、その推移を監視している。通常原因藻は極めて限られた水域で発生するが、原因藻の同定や計数にはある程度の熟練と手間がかかるので、現行の監視体制が対応し得る検体数は限られている。本研究で試作したELlSAキットは、貝類の毒性だけでなく原因藻の発生についても、よりきめ細かな監視体制を敷くことを可能とするものである。
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