2002 Fiscal Year Annual Research Report
光合成などの生理生化学機能診断のためのハイパースペクトル画像計測システムの試作
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12556041
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
大政 謙次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70109908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 秀則 愛媛大学, 理学部, 教授 (60124682)
沖 一雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (50292628)
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Keywords | 植物 / クロロフィル蛍光 / 画像診断 / 除草剤 / 光合成 / LIFイメージング / 励起-蛍光スペクトル / 水ストレス |
Research Abstract |
前年度に引き続き、LIFイメージングのために、水ストレスに対する励起-蛍光スペクトルの解析を行った。その結果、ホウレンソウ葉の水ストレス処理において、蛍光強度比F450/F680およびF450/F725は、F450/F520、F680/F725に比べ、水ストレス処理による相対含水率の変化に伴い大きく変化した。また、この変化は励起波長が短いほど顕著であった。さらに、F450/F680およびF450/F725は水ストレス処理初期で増加、その後減少した。このことから、本研究で用いた励起波長範囲(330nm〜500nm)と蛍光波長範囲(440nm〜740nm)では、励起波長330nmにおける蛍光強度比F450/F680あるいはF450/F725を経時的に計測することがホウレンソウ葉の相対含水率変化の影響を調べるのに最も適していることが明らかになった。植物に対する特定のストレスを検知するために最適な励起波長、蛍光波長を励起-蛍光matrixから選択することにより、より正確で、早期のストレス検知が可能になることが示唆された。 一方、飽和蛍光法によるクロロフィル蛍光画像計測では、生体内のアンモニアの代謝にかかわるグルタミンシンセターゼの活性を阻害する除草剤(Basta)を、葉面処理することによる光合成反応系への影響を調べた。その結果、気孔から葉内に入った除草剤は、まず、気孔周辺の細胞の電子伝達反応に影響を与え、その後、支脈から葉脈へと被害が拡大していった。しかし、この時点で、可視の障害はみられなかった。このように、DCMUのような光合成の反応系を直接阻害する除草剤でなくても、光合成反応系への影響は大きく、可視障害が発現する以前に、障害診断が可能であることがわかった。 最終年度であるので、前年度までに得られた成果と併せて、研究成果報告書を作成した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Omasa et al.: "Analysis of effects of abscisic acid on Cucumis sativus leaves using chlorophyll fluorescence imaging and thermal imaging"Proc. 12th Int. Cong. on Photosynthesis. S15-009:1-S15-009:4 (2002)
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[Publications] K.Takayama, K.Omasa: "Comparison of the induction method with the saturation pulse method in chlorophyll fluorescence imaging"Proc. 12th Int. Cong. on Photosynthesis. S15-010:1-S15-010:4 (2002)
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[Publications] R.Endo, K.Omasa: "Microscopic image instrumentation of chlorophyll a fluorescence from in situ microalgae Closterium moniliferium"Proc. 12th Int. Cong. on Photosynthesis. S15-011:1-S15-011:4 (2002)
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[Publications] 遠藤良輔, 大政謙次他: "微小藻類のin situクロロフィル蛍光顕微画像計測"Eco-Engineering. 14. 17-22 (2002)
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[Publications] 藤野素子, 大政謙次他: "キュウリ葉における水ストレスの非破壊画像計測に関する研究"農業情報研究. 11. 161-170 (2002)
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[Publications] K.Tobe, K.Omasa et al.: "Effects of sodium, magnesium and calcium salts on seed germination and radicle survival of a halophyte, Kalidium caspicum (Chenopodiaceae)"Aust. J. Bot.. 50. 163-169 (2002)
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[Publications] K.Omasa: "Image sensing and phytobiological IT"ASAE (in press). (2003)