2000 Fiscal Year Annual Research Report
マスト細胞特異的シグナル分子を標的にした抗アレルギー療法の開発
Project/Area Number |
12556050
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
後飯塚 僚 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (50301552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 克彦 東京理科大学, 生命科学研究所, 助手 (20287486)
辻 佐智代 東京理科大学, 生命科学研究所, 助手 (60297629)
柳田 誠 キリンビール株式会社, 医薬開発研究所, 部長補佐
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Keywords | アトピー / アレルギー / シグナル伝達 / IgE受容体 / マスト細胞 |
Research Abstract |
本年度は、MIST機能阻害剤スクリーニングシステムの構築ならびにそれを用いたMISTのシグナル伝達における役割についての解析を行った。チロシンキナーゼならびにBASH欠損DT40細胞に野生型ならびに変異型MISTを発現させ、B細胞抗原レセプター刺激に伴うMISTの機能について解析を行った結果、B細胞抗原レセプター刺激によりMISTは速やかにチロシンリン酸化され、MISTのリン酸化は、Lyn欠損株では著しく、Syk欠損株では軽度に低下し、またBtk欠損株では変化が認められなかった。SLP-76、BLNKおよびMISTの間で良く保存されているN末69と96番目のチロシン残基をそれぞれフェニルアラニンに置換すると、MISTのチロシンリン酸化の程度が減少し、両方ともに変異を入れるとリン酸化が認められなくなることから、これらのチロシン残基がMISTのリン酸化に重要であることが判明した。また、BASH欠損DT40細胞に野生型MISTを発現させることにより、B細胞抗原レセプター刺激による細胞内カルシウム濃度の上昇、PLCγ2のリン酸化、ならびにERK2の活性化が部分的に回復することが明らかになった。さらに、膜型アダプター分子であるLATをMISTと共にBASH欠損DT40細胞に発現させると、B細胞抗原レセプターシグナル伝達の完全な回復が認められた。変異型MISTを用いた解析から、MISTの69番目のリン酸化チロシン残基にPLCγ、プロリンに富む領域にGrb2を介してLATが結合することが明らかになり、これらのMISTの機能ドメインが薬剤の標的になりうることが明らかになった。
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[Publications] Katsuhiko Hayashi et al.: "The B cell-restricted adaptor BASH is required for normal development and antigen receptor-mediated activation of B cells"Proc.Nate.Acad.Sci.USA. 97・6. 2755-2760 (2000)
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[Publications] Ryo Goitsuka et al.: "A BASH/SLP-76-related adaptor protein MIST/Clnk involved in IgE receptor-mediated mast cell degranulation"Int.Immunol.. 12・4. 573-580 (2000)
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[Publications] Noemi Fusaki et al.: "BLNK is associated with the CD72/SHP-1/Grb2 complex in the WEH1231 cell line after membrane IgM cross-linking "Eur.J.Immunol. 30. 1326-1330 (2000)
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[Publications] Toshifumi Morimura et al: "Cell cycle arrest and apoptosis iuduced by Notch1 in B cells"J.Biol.Chem. 275・47. 36523-36531 (2000)
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[Publications] Toshifumi Morimura et al: "Notch signaling suppresses IgH gene expression in chicken B cells :Implication in spatially restricted expression of Serrate2/Notch1 in the bursa of Fabricius"J.Immunol.. 166. 3277-3283 (2001)
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[Publications] 後飯塚僚: "マスト細胞のFcqレセプターエシグナル伝達におけるアダプタ-分子の役割"臨床免疫. 33・6. 647-653 (2000)
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[Publications] 後飯塚僚: "マスト細胞に発現するBASH/SLP-76ファミリーシグナル伝達分子"医学のあゆみ. 192・10. 1027-1031 (2000)
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[Publications] 後飯塚僚: "マスト細胞に発現するSLP-76ファミリーアダプタ-分子(MIST)"アレルギー科. 9・5. 416-422 (2000)
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[Publications] 後飯塚僚: "サイトカインによって発現誘導される免疫レセプターシグナル伝達分子MIST/Clnk"Immunology Frontier. 10・3. 174-178 (2000)
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[Publications] 後飯塚僚: "Fe受容体シグナル伝達に関与するアダプター分子"最新医学. 55・10. 2287-2295 (2000)
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[Publications] 後飯塚僚: "マスト細胞の脱顆粒に関与するシグナル伝達分子"喘息. 13・4. 53-58 (2000)
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[Publications] 藤村雄一: "ホールマウントin situハイブリダイゼーション"Organ Biology. 7・4. 69-79 (2000)