2000 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆のメカニズム解明および抗痴呆薬開発のための動物モデルの確立
Project/Area Number |
12556054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 泰弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80109975)
森 裕司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40157871)
土井 邦雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70155612)
佐々木 伸雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60107414)
小野 憲一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50111480)
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
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Keywords | 動物 / 老人斑 / アミロイドβタンパク質 / フラクタル / プリセニリン |
Research Abstract |
1)老齢犬の老人斑を三次元的に観察した。アミロイドβタンパク質(Aβ)の沈着巣はび漫性老人斑(DP)では不均一な星雲状集合体で、成熟型老人斑(MP)では比較的均一な薄膜状または線維状の集合体であった。いずれ老人斑でも沈着巣内には低密度部分がみとめられた。また、Aβ前駆体(APP)、ユビキチン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、ニューロフィラメントについても三次元的分布を調べた。その結果、DPとMPの三次元構造の違いが明らかになり、両者はそれぞれ異なる過程によって形成されたものであることが示唆された。 2)各種動物(イヌ、サル、クマ、ネコ、ラクダ、ヒト)の老人斑についてフラクタル次元(FD)を求め比較検討した。イヌ、サル、ヒトでDPとMPとの間にFD値に有意な差が認められた。さらにイヌにおいてFD値と老人斑の大きさとをプロットしたところ、DPとMPで回帰曲線の傾きに差があった。これら動物ではDPとMPが異なる過程で形成されたと推測された。また、ネコのDPのFD値はイヌ、サル、クマ、ラクダ、ヒトのそれより有意に低く、ネコ老人斑の特殊性が考えられた。 3)老齢犬および老齢リスザルを用いて、Aβの2つの分子種(Aβ40とAβ42)の老人斑における沈着パターンを調べた。その結果、Aβ42が最初に沈着し、それを中心としてAβ40が凝集してくることが示された。 4)カニクイザルを用いて、プリセニリン1の局在を調べた。プリセニリン1のC末端が大脳の神経網に検出され、その量は加齢とともに増加した。 以上のことから、動物におけるAβとプレセニリン1の沈着様式および老人斑形成過程が明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nakayama,H.,Yoshikawa,Y.,Doi,K. 他: "Fractal analysis of senile plaques observed in various animal species."Neuroscience Letters. 297. 195-198 (2001)
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[Publications] Miyawaki,K.,Makayama,H.,Nakamura,S.,Doi,K.: "Three-dimensional structures of canine senile plaques."Acta Neuropathologica. (印刷中). (2001)
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[Publications] Samura,E.,Nakayama,H.,Doi,K.,Yoshikawa,Y. 他: "Biological and immunohistochemical studies of amyloid β protein (Aβ) species in aged canine brains."Brain Research. (印刷中). (2001)
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[Publications] Kimura,N.,Nakayama,H.,Doi,K.,Yoshikawa,Y. 他: "Age-related changes of the localization of presenilin-1 in cynomolgus monkey brains."Brain Reasearch. (印刷中). (2001)