2000 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染化学物質による潜在的神経障害検出のための新しい機能評価法の開発と実用化
Project/Area Number |
12557038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸 玲子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80112449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 俊夫 中央労働災害防止協会, 研究室長
小橋 元 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60270782)
佐田 文宏 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90187154)
森若 文雄 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30142722)
田川 義継 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40109426)
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Keywords | スチレン / 職業性曝露 / 神経行動テストバッテリー / 色覚 |
Research Abstract |
目的:有機溶剤の多くに神経組織親和性があり、曝露影響評価では神経障害の検出が重要である。スチレンによる神経系への影響を神経行動テストバッテリー検査と色覚検査によって評価した。 対象:スチレン曝露工場労働者101名と非曝露者166名。 方法:(1)生物学的モニタリングによるスチレン曝露測定:終業時採尿による尿中マンデル酸(MA)・フェニルグリオキシル酸(PGA)濃度測定。累積曝露指数(CEI:気中スチレン濃度20ppmで毎日8時間暴露あたりの年数に換算)を求めた。(2)神経行動テストバッテリー:言語、数唱、数字符号対応、積木デザイン、サンタアナ、単純反応時間、ベントン記銘力テスト。(3)色覚検査(LD-15test)を行い、CCI(Color Confusion Index)を求めた。 結果:(1) 神経行動テストバッテリー:年齢・教育歴をマッチし、尿中スチレン代謝物濃度(MA 360、PGA 120、MA+PGA 480mg/g creatinine)及びCEI中央値で層別、高曝露群、低曝露群、非曝露群の多重比較を行った。高曝露群は非曝露群より数字符号対応で有意に成績が低下していた(p<0.05)。単純反応速度で、低曝露群が非曝露群より有意に延長していた(p<0.05)が、高曝露群では有意差がなかった。 年齢・教育歴・飲酒・喫煙他、曝露指標を説明変数、テストバッテリーの成績を目的変数とした重回帰分析においては、CEIは反応時間に有意な負の影響を認めた(p<0.01、R^2=0.29)。 (2) 色覚:曝露群のCCIは非曝露群より有意に高かった。年齢でマッチさせ、MA+PGA 240mg/g creatinineで層別し多重比較を行った。高曝露群と非暴露群のCCIにのみ有意な差があった。 結語:神経行動テストバッテリー中、数字符号対応と単純反応時間に曝露影響を認めた。色覚検査においては、高曝露群において影響が認められた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kishi R., Tozaki S., Katakura Y., Kobashi G., Shido K., Tukishima E., Gong Y.Y., Kond K.: "Contrast vision dysfunciton among styrene-exposed workers"7th International Symposium on Neurobehavioral Methods and effects in Occupational and Enviromental health, Stockholm. (1999)
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[Publications] Kishi R, Tozaki S, Gong YY: "Impairment of Neurobehavioral Function and Color Vision Loss among Workers Exposed to Low Concentration of Styrene-A Review of Literatures"Industrial Health. 38. 120-126 (2000)
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[Publications] 笠井世津子,片倉洋子,貢英彦,近藤恭子,築島恵理,小橋元,佐田文宏,岸玲子: "低濃度スチレン曝露の神経行動テストバッテリーへの影響"第74回日本産業衛生学会.
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[Publications] 貢英彦: "産業スチレン曝露濃度と色覚障害の関連"日本産業衛生学会. (発表する予定).
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[Publications] 貢英彦: "札幌市の妊婦喫煙率と関連要因-1984年と1998年の比較"北海道公衆衛生学会. (2000)