2000 Fiscal Year Annual Research Report
摂食障害のスクリーニング機能ならびに発病予測機能を兼備した心理テストの開発
Project/Area Number |
12557040
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
平野 均 山口大学, 保健管理センター, 助教授 (70228807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 俊則 熊本大学, 医学部, 教授 (30146716)
久長 穣 山口大学, 工学部・総合情報処理センター, 講師 (80228725)
平田 牧三 山口大学, 保健管理センター, 教授 (10156672)
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Keywords | 摂食障害 / 心理テスト / スクリーニング / 発病予測 / UPI(University Personality Inventory) / SDS(Self-Rating Depression Scale) / 因子分析 |
Research Abstract |
【目的・方法】摂食障害発病予測テストとしてのUPIとSDSの信頼性と妥当性を検討する目的で、(1)探索的因子分析によりUPIとSDSの因子構造を解明し、(2)構成尺度の診断に対する有用性を検証する目的で、在学中に発病した学生(男子が少数であるため女子のみ対象とした:障害群)の入学時におけるUPIとSDSの各尺度得点を対照群と比較した。さらに、障害群のstateあるいはtrait dependentな性格特性を解明する目的で、(3)障害群の発病後のUPI・SDS得点を対照群と比較し、また障害群の入学時得点とも比較した。 【結果】(1)UPIおよびSDSの探索的因子分析により、それぞれ7個(回避・強迫、依存、自己愛、易刺激、抑うつ、心気、対人緊張)と3個(感情、認知、身体)の因子を抽出した。(2)入学後に神経性無食欲症(AN;n=20)、神経性大食症(BN;n=17)、無茶喰い障害(BE;n=4)を発症した学生、および対照群の入学時UPI総得点、UPI各因子得点、SDS総得点、SDS各因子得点には有意差は認められなかった。しかし、(3)発病後には4群間のUPI抑うつ因子得点、SDS総得点、SDSの感情および身体因子得点に有意差が認められ、対照群と比較してそれぞれBN、ANとBN、BN、BEが有意に高値であった。また発病によってANではUPI総得点と易刺激、抑うつ、心気の因子得点、SDS総得点が有意に増加した。BNではUPIの依存、抑うつの因子得点、SDS総得点と総ての因子得点が有意に増加し、UPIの自己愛因子得点が低下した。BEではUPI総得点と回避・強迫因子得点、SDS総得点が有意に低下した。 【考察】以上から、(1)UPIおよびSDSによっては、摂食障害の発病予測は困難であることが示唆された。(2)一般にANやBNで認められる内気、強迫的、依存的、衝動的といわれる性格傾向や低い自己評価は、state dependentな性格特性であることが示唆された。
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[Publications] 平野均,渡邉織江,梅本智子,平田牧三: "摂食障害の発症がもたらす心理的影響について."CAMPUS HEALTH. 36・1. 378-382 (2000)
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[Publications] 梅本智子,平野均,渡邉織江,平田牧三: "肥満大学生の食行動と体質・体型に関する認識調査."CAMPUS HEALTH. 36・1. 530-534 (2000)
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[Publications] 梅本智子,平野均,渡邉織江,平田牧三: "シンポジウム「摂食障害をめぐって」:摂食障害学生への対応-看護職の立場から-."第30回中国・四国大学保健管理研究集会報告書. 48-52 (2000)
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[Publications] 梅本智子,平野均,渡邉織江,平田牧三: "肥満大学生の食行動と体質・体型に関する認識調査-第2報-."第30回中国・四国大学保健管理研究集会報告書. 78-82 (2000)
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[Publications] 平野均,北村俊則,久長穣,梅本智子 他: "SDS得点の変化からみた摂食障害発病の心理的影響について."CAMPUS HEALTH. 37・1(印刷中). (2001)
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[Publications] 梅本智子,平野均,渡邉織江,平田牧三: "肥満大学生の食行動パターンとストレス耐性との関連について."CAMPUS HEALTH. 37・1(印刷中). (2001)