2000 Fiscal Year Annual Research Report
β2グリコプロテインI遺伝子変異(β2GPI-Sapporo)と動脈硬化の進展
Project/Area Number |
12557043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小池 隆夫 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80146795)
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Keywords | SLE / 抗リン脂質抗体症候群 / 血栓症 / β2-GPI / 動脈硬化 / 遺伝子欠損 / LDL |
Research Abstract |
全身性エリテマトーデス(SLE)には、心筋梗塞に代表される動脈硬化や血栓症が正常人より、10〜50倍多いことが知られている。また、SLEには高頻度に抗カルジオリピン抗体が出現するが、研究者は抗カルジオリピン抗体の対応抗原であるβ2-GPIと抗カルジオリピン抗体(抗β2-GPI抗体)が関与し、スカベンジャーレセプターに依存しない酸化LDLのマクロファージへの結合の機序が存在する事を明らかにした。β2-GPIはリポ蛋白リバーゼとしての活性を有し(別名、アポリポ蛋白H)、また、これまでの実験から、生体では抗動脈硬化作用(酸化LDLのマクロファージへの結合を抑制する作用)があると考えられ。動脈硬化の成因である酸化LDLのマクロファージによる酸化LDLの細胞内取り込みおよび泡沫化がβ2-GPIおよび抗カルジオリピン抗体(抗β2-GPI抗体)の関与のもとでマクロファージ上のFcレセプターが関与しているのかについてin vitroの実験系(細胞培養系)で解析を進めている。 研究者らは偶然β2-GPIを欠損している姉弟を発見し、その遺伝子解析と凝固学的検索と脂質の検索を行った。その結果、β2-GPI欠損者では329番目のthymineが欠落し、フレームシフトを来たし、β2-GPIの第2ドメイン以降が産生されないことが明らかになった。また、著しい脂質代謝異常(高LDL血症、特にsmall sized LDLの増加)と過凝固を認めた。これまでの健常人200例程の遺伝子解析から、約7%にβ2-GPI遺伝子のヘテロ欠損が329番目の位置に認められた。それらの遺伝子異常と脂質代謝とくにLDLとの関係を現在明らかにしつつある。脳硬塞ならびに心筋梗塞の既往の存在する患者とβ2-GPI遺伝子の欠損との関係も解析中であり、本遺伝子異常が動脈硬化のリスクとなりうるかを今後の研究で明らかにする。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 小池隆夫: "Heterogeneous behavior anti-β2-glycoprotein."J.Rheumatol.. 72:2. 391-397 (2000)
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[Publications] 小池隆夫: "Lytic epstein-barr virus infection in the synovial tissue of patients with rheumatoid arthritis."Arthritis.Rheum.. 43:6. 1218-1225 (2000)
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[Publications] 小池隆夫: "β2-blycoprotein I deficiency : prevalence, genetic background and effects on plasma lipoprotein metabolism and hemostasis."Atherosclerosis.. 152. 337-346 (2000)
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[Publications] 小池隆夫: "Proteolytic cleavage of β2-glycoprotein I : reduction of antigenicity and the structual relationship."Internal.Immnol.. 12:8. 1183-1192 (2000)
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[Publications] 小池隆夫: "Association of autoantibodies against the phosphatidyserine-proteronbin complex with manifestations of the antiphospholipid syndrome and with the presence of lupus anticoagulant."Arthritis Rheumatism.. 43:9. 1982-1993 (2000)
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[Publications] 小池隆夫: "Coagulation and fibrinolytic activities in 2siblings with β2-glycoprotein I deficiency."Blood.. 96:4. 1594-1595 (2000)
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[Publications] 小池隆夫: "免疫疾患のとらえかた-眼でみるベットサイドの病態生理-"文光堂. 236 (2000)